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□退魔師列伝 魔刃朱殺 第五話F
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キマイラに接近するレシート手裏剣と双形劫(フタナリ・コウ)。少しだけ速くレシート手裏剣がキマイラに至る。しかし、右の羆の腕を軽く振った風圧で払われてしまった。
その僅かな隙をつき、槍撃を放つ劫。左の怪鳥の腕で防御されたが、先ほど俺が刃化を施した効果で怪鳥の腕を貫いた。やはり基が良い武器なら刃化の効果も増すようだ。
「いける!」
少し高揚したように劫が言った。さっきまで傷をつけられなかったのだから当然だろう。
穂先を返し、逆端の穂先で下段を斬る。そのまま上中段に突きを三連発。一瞬怯んだところに一撃を繰り出す。
「弾け。瞬烈の炎弾。」
小規模な爆発音が響く。微かに獣毛の焦げる臭いが鼻腔に漂った。
再開される槍撃。キマイラも鋭い爪で攻撃をしているが、劫は薄皮一枚、あるいは肉を斬らせて反撃を狙い続けている。それだけの覚悟を携えて戦闘に赴くのだろう。
そんな劫には申し訳ないが、戦ってる間にキマイラの背後に廻っていた。卑怯者ではなく兵法者と言って欲しい。
ビリーの鉈ほど派手さはないが、刃渡り20cmのサバイバルナイフを振り上げる。降り下ろす先は大きな狼の尾。
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