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□退魔師列伝 魔刃朱殺 第六話C
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「えっと〜…赤色だから……。」
もっと色々な表情を見たいと思うのは何故だろう。こんなに他人に興味を持つのは初めてかもしれない。
新しい自分を知った。それはきっと大事な経験で、それは体感させてくれた美作サンとの出逢いは財産なんだと思う。
「……セキトバ。」
「ブッ!?」
危うくかき氷を溢すとこだった。まさか女子高生がその名を知っているとは思わない。
「え?あ、そうか。金魚にこの名前は無いよね。」
「そ、そうだね。」
良かった。いくらなんでも馬の名前をつけるのはアレだし。
いや、それよりも何で知ってるかが知りたい。
「………セキトギョ。」
「……………………。」
うわぁ………………。
「どうかな?」
「…うん。良いと思う。セッキーのこと忘れないようにするからさ、たまに写メとか送ってよ。」
これでどうだ。せめて愛称をつければ、そっちが本名っぽくなるはず。
「わかった!なんか変化がある度にセキトギョの写メ送る。約束だね!」
「……うん、約束。」
ダメだ。気に入ってしまっている。セッキーごめんよ。君の名前はセキトギョで決定だ。
「寥クン!」
黄色い浴衣を翻して向き直る。
そして笑顔で語りかけてきた。
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