栄光
□星液
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自分の胸から滴り落ちるカルピスを見て瞬は絶句した。
冷たい。とても冷たくて思わず濡れたシャツに手を当てると甘い香りが鼻に抜けた。
「何する」
やっと我を取り戻した彼がクリーニング代を要求するとカルピスをかけた本人は鼻で笑って、グラスに残っていた三分の一程のそれを飲み干す。
赤い舌に白く優しい味を絡ませながら清春は酷くご機嫌だった。
「はいはい、払ってやんヨ。ナナの使い古したシャツのクリーニング代なんて翼サマのポケットマネーの前には塵みたいなもんだぜェ。ケケケ」
「お・ま・え・が・は・ら・え!」
ベースにかかっていないことが唯一の救いだった。瞬にとっても、清春にとってもである。
もし楽器を痛めたり汚したりするようなことがあれば瞬は自分を許さない。
清春は勿論わかっていた。
「貴様が汚したんだ。仙道が払うのがスジだろう」
「自業地獄ってヤツかア?」
「そうだ」
(成功ダナ)
清春は綺麗にするからと瞬のシャツを剥ぎ、甘い肌に唇を押し付ける。
床に散った白く輝く飲み物に彼は感謝した。
星液
(俺様がいてもお前がこっちを見ねェなんて耐えられっかよ。バカナナ!)
2009.0603