秋色の空(恋愛編)

□入学祝(大人になっていく君へ)
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「ギロロ!」

こちらに後ろを向けて腰を掛けているギロロに声を掛ける、

「な、夏美・・ど、どうした?こんな朝早くから・・」

なによ、そんなに慌てなくてもいいじゃない、まったく
あの時はあんなに男らしく告白してくれたくせに。

「おはようを言いに来たのよ」

「そ、そうか・・おはよう、夏美」

「うん、おはよう、ギロロ」

ギロロの横にあるブロックに目をやり
「ねえ、横に座ってもいい?」

と尋ねると
「お前の場所だからな」
答えるギロロ

こんな時にはどもらないのね、逆にこっちが少し恥ずかしくなる
横に腰を下ろしたあたしは腕にはめた時計をギロロに見せる

「えへへ、どう、ギロロ、似合ってる?」

ギロロはあたしの腕に収まっている時計を見つめた後、あたしの目を見つめながら

「ああ、よく似合っているぞ・・・高校か、夏美もまた一つ大人になるのだな・・・」

と、普段あまり見せない笑顔を見せる。
その笑顔は卑怯だわ、あたしその笑顔にまだ慣れてないのよ・・

自分の顔が赤くなっていくのがわかる、
あたしの顔を見てギロロも急に赤くなる。

「あ、あの・・そ、その・・・」

照れ隠しにあたしはギロロに話しかける

「あ、ありがとうギロロ、すごく嬉しいわ」

ギロロは照れて目線を逸らしながら
「い、いや、何かお祝いがしたくてな・・俺が勝手に選んだ物だから気に入ってもらえたかどうか」

あたしは首を振りながら
「ギロロってあたしの好みが解ってるのね、これすごく気に入ったわ」
「本当にありがとう」
とっておきの笑顔でお礼を言う。

ギロロは真っ赤になってオーバーヒートしそうになっている

「それでね・・・なんかギロロにお返ししなくちゃって思うんだけど」

ギロロは目線を下に下ろし
「そんなものはいい、俺がお前にあげたくて渡した物だ」
「今のお礼の言葉と笑顔がなによりのお返しだ」

「うん・・・でも・・・」

ギロロはいいと言ってくれたけど、なんだかあたしの気持ちがおさまらない・・
あたしはあたしなりに何か考えてあいつに御礼をしよう。

4月になり、高校の入学式も無事終了した、ママも入学式に出席してくれたし・・・
お仕事無理させちゃったかしら、でもすごく嬉しかった。

ギロロへのお返しはまだ決まっていなかった、
あいつの好みって良く解らない、銃火器ばかり思いついてしまう、

まだあたしの方はあいつの事が良く解っていないのかもしれない。
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