夢色の花1

□いつでも傍に…
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「夏美さん、夏美さん、こっちこっち!」
「ちょ、ちょっと待ってよ小雪ちゃん」

小雪が夏美の手を取って走っていく、夏美は引っ張られる様にしてついて行く。
「何だ、あの女」
地球人スーツ姿のギロロはものすごく不機嫌そうな顔をして二人の後を歩いていた。

「大体、今日はあの女はお前とデートの筈ではないのか、ドロロ」
ギロロの横には同じく地球人スーツ姿のドロロがいる。
「だからWデートでござるよ、ギロロ君」
「Wデートってのは女同士、男同士で歩くって事なのか?」
「それは…」

言葉に詰まるドロロをよそにギロロは二人の様子を見て我慢が出来なくなっていた。
「もう許せん、あの女…」
ギロロは二人の所に近づくと夏美の手をとった。
「夏美こっちだ、こっちに行くぞ」
負けずに小雪が夏美の手を引っ張る
「夏美さんあっち、あっちですよ」

「ちょ、ちょっと待って…両方で引っ張らないで、痛いってば」
夏美が悲鳴を上げるのでギロロは手を放してしまった。
「ぬうう…」
「こうなったら…」

「夏美さ〜ん」
小雪が夏美の腕を組みぴったりと体を寄せる。
「小雪ちゃん」
「うおおおおお!」
ギロロは思わずマシンガンを転送させるが
「ギロロ!」
夏美の一言にマシンガンを元に戻した。

「へへ〜ん」
小雪がギロロを見て舌を出して笑った。
「く、くそーっ!」
ギロロは口からギリギリと音を立てながら悔しがった。



今日、ギロロと夏美はデートをする事になった
ただし、小雪とドロロと共にWデートというスタイルをとる事になったのだ。
ドロロに『お二人のデートをお手本にしたいのでござる』と言われ
ギロロは渋々承諾したのであった。

「大体、ドロロが自分からそんな事を申し出る筈がない」
「あの女の差し金に違いないんだ」
デートだというのに家を出る時のギロロの機嫌は悪かった。

「いいじゃない、デートはデート。楽しまなくちゃ」
「それに小雪ちゃんはあたしの大切なお友達よ」
「『あの女』って呼び方は無いでしょ」
「いい、あんた小雪ちゃんに酷い事したら承知しないからね」
あらかじめ夏美に釘を刺されたギロロは口惜しそうにしていた。


四人は近くの遊園地に来たのだが
早速入口近くのお土産物屋であっちを見たりこっちを見たり、夏美と小雪は二人でわいわいやっている。
さすがにこのあたりは男の出る幕は無い…

「それにしてもくっつきすぎだ」
ギロロのイライラはさらに増していた。


遊園地の中に入ってからは更にエスカレートしていった。
「夏美さん、あれ、あれに乗りましょう」
「夏美、あ、あれはどうだ」

一人で二人の行動に付き合っているのだ
「も、もう…ダメ、疲れた…」
夏美はすっかり目を回している。

「そろそろ休憩して食事などしたらどうでござろう?」
ドロロが気を利かせて提案をした。
「そ、そうね、ちょっと疲れちゃったしお腹もすいたから食事にしましょう」

遊園地内のテーブルとベンチのある場所でお弁当を広げた。
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