夢色の花1

□「出会い」と言う奇跡に…
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−ご注意−
今回のお話しは
「宇宙色の恋」の番外編という事で
二人は結婚しているという設定でお読みください。


「出会い」と言う奇跡に…


「ねえギロロ…」
テント横のブロックに腰を掛けていたギロロに
洗濯物を干していた夏美が声をかけてきた。

「今日が何の日か覚えてる?」
何かを期待するような眼で夏美はギロロを見つめている。
「はて?何かの記念日だったか?」
首をかしげるギロロを見た夏美は溜息をつくと俯いて
「もういい…」
と、明らかに不機嫌そうにリビングに戻っていった。

「???」
思い出そうとしたがどうにも思い出せず
ギロロは夏美を呼び止める事が出来なかった。


お洗濯が終了した夏美は部屋に戻っていた。
部屋は本棚の片付けが途中になっている。

昼はテントにいるにしても夜はこの部屋はギロロの部屋でもある
自分の物を少し片付けようとしていたのだ。

机の上には片付けの最中に出てきた一冊のノートがあった。
夏美はノートの最後のページを開いた。
このノートはいわゆる「家計簿」である。

以前は買い物は秋が行い夏美達にはお小遣いのみを渡していたのであるが
夏美が中学生になった時から夏美にお金を預けて
買い物を任せるようになったのである。

その日からほぼ毎日、夏美はノートにレシートを張り付けたりして
記録をつけているのである。
今日、本棚を片付けていたら中2の頃のノートを見つけたのだ。

開かれたそのノートには
少し焼け焦げたレシートと
『赤い奴、危険』
と赤いペンで走り書きがされている。
「この日が…ギロロがはじめて我が家に来た日なのね…」
「あたしが初めてギロロと出会った日…」

ギロロが日向家に初めて来た日…
ギロロは家じゅうにトラップを張り巡らせたが買い物から帰った夏美に
ネギ一本でトラップをかわされ鞄で張り倒されたのである。

夏美自身、このノートを見つける迄、すっかり忘れていたのだが
『もしかしたらギロロは覚えているのでは…』と期待していたのであった。
「やっぱり覚えている訳ないか…」
夏美は俯いて再び溜息をついた。
「まあ、あたりまえよね…」

そう言いながらも気を落としているのは
ギロロが意外と記念日を覚えていてくれるからであった。
結婚記念日や誕生日はもとより…
告白した日、その他記念日のほとんどをギロロは覚えているのだ。
だから夏美は今回の事もギロロは覚えているかもしれないと
期待していたのだ。
期待していた分だけ落胆も大きい。

本棚の片づけは途中で止まったままになっている。
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