冬色の宇宙(短編集)その1

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俺の隣に座っているお前

いったいあれから何年の月日が流れたであろうか。

最初に会ったときは確か14歳だったろうか、
自慢のトラップをかいくぐり、俺を一撃で倒した少女。

惚れた・・・

異星の民、故に容姿による年齢の差は解り難いものの
自分は成人した大人であり、彼女はまだ成長途中の幼体であると知った時
俺は自分がどこか狂ってしまったのではないかと思った

・・・普通じゃない・・・

俺は侵略者で・・
お前は侵略される立場の星の者で・・
まだ子供で・・
おそらく寿命も俺達よりずっと短くて・・

叶う事の無いであろう思いを内に秘めながら
この星にいる限り
せめてお前のことを守り続けていこうと思った。

時は流れ・・・

今、お前は俺の横で微笑を浮かべながら座っている。
その姿は成長し、成人になり、さらに歳を重ね大人となってきている。

俺は目を閉じ14歳のお前を思い出す、
・・・?・・・
16歳のお前を思い出す、
・・・?・・・
20歳のお前を・・・

目を閉じ、頭に浮かんでくるのは今現在のお前・・
アルバムを見たり、ビデオを見たりすれば
そこに当時のお前がいる

だが、

俺の頭の中でお前を思い出そうとすると
昔のお前は現れず、今のお前の顔や姿が現れる。

ああ、そうか、
昔も今もお前はお前なのだな・・・夏美。

お前はこうして常に俺の中に存在し、俺の胸の中で
おまえ自身の存在を自動的に更新し続けているのだな。

だから、俺は14歳のお前も好きだったが
今、俺の横にいるお前の事を変わらず、そして新鮮な気持ちで
愛し続けることが出来るのだな。

これからも、その時ごとに俺の胸の中にお前の存在を刻み付けていくのだろう。

ずるいな・・・だがこれは惚れた俺の負けだな。

これからもお前の事を愛し守り続ける・・・と
そう此処に誓う。
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