秋色の空(恋愛編)

□Natsumi
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「すまんが今日は少し遅くなりそうだ」
「焚き火と芋は無理だと思う」

今日、ギロロは昼過ぎから出かけたままだ。
なんでも小隊の用事とかで地球を離れているのだ。

「折角、こんなにいいお天気の休日なのに」
でも仕事ではしょうがない・・と、あきらめて

「気をつけて、いってらっしゃい」
「あんまり遅くなるようならメール入れなさいよ」
とギロロを送り出した。

夏美の携帯電話にはギロロとの通話やメールが
出来る機能が追加されていた。

「でもやっぱり、なんかつまんないわね」
夏美は大きな溜息をついた。

ギロロと夏美は付き合うようになったからと言って
あまり人前でベタベタしているような事も無く
付き合う前と様子はそう変わらない。

見る人によっては付き合っているとは
思わない人もいるかもしれないほどだ。

「いや、そんなこと無いのであります」
「姉ちゃん、結構わかりやすいよね」

ケロロと冬樹はさっきからリビングで夏美と一緒に
TVを見ているのだが二人はTVよりも
夏美の行動を見ている方が面白く感じた。

TVを見ていたかと思うと
窓から庭をのぞいて見たり、
庭を覗いては溜息をついたり、
時計を見てはそわそわしたり・・・

とにかく落ち着きが無いのである。

「夏美殿、そんなにそわそわしてもギロロの
帰りはまだだいぶ後になるのであります」
「折角のお休み、お楽しみの邪魔をしてしまって
申し訳なかったでありますなあ」

からかい半分でケロロが話しかけると

「わ、わかってるわよ・・・」
と、顔を真っ赤にしている。

「ゲロゲロリ」
ケロロは笑うが横にいた冬樹に
「軍曹、あんまりからかうと姉ちゃん怒り出すよ」
「そうでなくても伍長がいなくて機嫌があんまり・・・」

「何ですって・・・」
二人のヒソヒソ話を聞いていた夏美が不機嫌そうな声を出す。

「ひゃー!」
「な、なんでもないよー!」

慌ててケロロと冬樹はその場を離れた。
「まったく・・・」
「ギロロがちょっといないだけで
あたしがそんなに不機嫌になる訳無いじゃない」

夏美に自覚はないらしい。

ただ、
冬樹とケロロが居てくれたおかげで
夜までは夏美はあまり普段と変わらず
楽しく過ごすことが出来た。

やがて夜になり、それぞれが自分の部屋に戻った時

夏美も最初は宿題を片付けたりラジオを聞いたりしていたが
やはり落ち着かない様子でベランダから庭のテントを見たり
携帯電話を確認したりしていた。

『あんまり遅くなるようならメール入れなさいよ』

とギロロにお願いしてあったのでメールを確認するが
メールは届いていない。
「着信・・・無し・・・か」
「もう・・・なにやってんのよ・・・あいつ」

ベッドの上で携帯を確認しながらうずくまる夏美には
昼間までの元気はなかった・・・
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