夏色の海(恋愛前編)
□赤い悪魔VS地球最終防衛ライン
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ギロロの頭上に振り下ろされるビームサーベル
「ちいっ・・!」
ギリギリの所でかわす、
相手のスピードは速い、もう次の攻撃に出てくる、
放たれたビームは庭の芝生を打ち抜いていく。
「何故だ?」
ギロロの問いかけにサーベルを向けた相手は答えない
このまま攻撃を避け続けるのは無理なようだ。
『意味が解らん・・・一旦退くか?』
さがろうとするギロロに強い口調で叫ぶ夏美、
「あんた、逃げる気!!」
そう、今ギロロと交戦中の相手は誰あろう日向夏美その人であった。
「まて、夏美!なんのまねだ?」
「問答無用よ!」
まさか誰かに操られているのでは・・と思ったギロロは彼女の瞳を見つめた、
澄んだ瞳は誰かに操られている様子ではない。
彼女が今、正気で彼女の意思で攻撃をしている事が解った。
「ならば、本気でいかねば・・やられるな!」
飛行ユニットを出し空高く舞い上がる、夏美も直ぐにそれを追う。
そんな二人を地下深くモニターを通して見つめる目が在った、
「ゲロゲロリ・・・いい調子であります」
ケロロだった、
「クルル曹長!・・抜かりは無いかね?」
「クックック−!! 上々だぜぃ」
二人の目はモニターに映し出されている二人の戦いに向けられていた。
「ね、姉ちゃん?・・・伍長?」
冬樹は自分の目を疑った、自分の頭上で姉と伍長が戦っているのだ、
すさまじい攻防はとても練習とは思えない
・・・本気で戦っている?
二人からは強い闘志が感じられた。
「た、大変だ・・・ぐ、軍曹−!」
冬樹は急いで地下基地に向かった。
地下基地に降りて来た冬樹はケロロに訊ねる
「軍曹、なにあれ?危ないよ、やめさせてよ」
冬樹に背を向けたままのケロロが答える
「冬樹殿・・たとえ冬樹殿の頼みでもそれは出来ないのであります。」
「軍曹・・・」
ケロロは振り返り冬樹を見た
「夏美殿が地球最終防衛ラインである以上、これは避けられない事なのであります」
「そんな・・だって本当はあの二人だってそんな事望んでいないんでしょ・・・だったら!!」
膝をつきケロロと目線を合わせ冬樹は叫ぶ
「だから・・でありますよ、冬樹殿」
「えっ?」
冬樹の目をじっと見つめ、優しそうにケロロは話し始めた。
それは昨日の事・・・・