夏色の海(恋愛前編)

□ねがい星
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今日は七夕

夏美は自室の机で短冊に願い事を書いていた。
本当ならば書き上げた短冊を笹につけて飾るところなのだが
今回は少し様子が違った。

書き上げた短冊をカプセルに詰めて
5つの小さなロケットにセットした。


事の始まりは昨日の夕方の事…
「そういえば明日は七夕でありましたな」
ケロロがリビングで夏美や冬樹に話しかけていた。

「ボケガエル、今年は七夕飾りを勝手に持ち出しちゃあ駄目だからね」
「笹飾りにはみんなの願いが込められているのよ」

夏美に注意されたケロロは憤慨し
「ゲロゲロリ、そんな事はもうしませんよ」
「だいたいあんなお願いの方法なんて時代遅れであります」
と、言って鼻で笑った。

「なんですって!」
「まあまあ姉ちゃん」
ケロロにばかにされたと思った夏美は腹を立て立ち上がったが
冬樹に止められた。

「軍曹、じゃあどんなのが新しいの?」
冬樹に尋ねられてケロロは待ってましたとばかりに
「それでは明日の七夕の夜にやってみるのであります」
「お二人はこれを」
と、言って二人に小さなロケットと5色の短冊を手渡した。

「なによこれ…ロケット?」
「この短冊に願い事を書いてロケットのカプセルに入れるのであります」

「後の説明は当日のお楽しみであります」
そう言ってケロロは
「ゲロゲロリ」
と笑った。

…で、現在に至るのであった。
夏美は願い事を書きあげロケットにセットすると庭に降りていった。

「夏美殿、遅いでありますよ」
「悪かったわね」

夏美が参加して、今、日向家の庭には
夏美、冬樹、ケロロ、ギロロそしてモアがいる。
「今回、急な事なので他の方はお呼びする事が出来なかったのであります」

今回ケロロが提案したのは
今、宇宙で流行の「宇宙七夕お願いセット」である。

「まず、各々一つ目のロケットをセットするであります」
それぞれ一つ目のロケットを地面に置いた。

「レディー、ゴー!」
ケロロの合図と共にロケット達は空に上がっていく。

「このロケットが無事「カナーウ星」にたどり着くと」
「そこに書かれた願い事が叶うと言われているのであります」
ケロロが自慢げに説明する。

「カナーウ星?胡散臭いわねぇ」
夏美は疑いの眼でケロロを見る。
「信じる者は救われる…であります」

「ま、いいわ」
「とにかく叶えさせてもらうわよ」
夏美は空に上がっていったロケットを目で追った。

空高く上がったロケットはそれぞれぶつかり合って爆発した。
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