夏色の海(恋愛前編)

□小隊南の島へ
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「南の島?行く行く!」

此処は日向家リビング
ケロロが夏美と冬樹にロードランジャーを使って
南の島に遊びに行こうと誘っていた。

「きゃ〜!新しい水着着ていこう」
夏美はすっかり上機嫌である。

「でも軍曹、ロードランジャーは壊れたんじゃなかったの?」
そう、実は以前海で戦闘がありその時ロードランジャーは大破していたのだ。

しかし、冬樹の質問にケロロは上機嫌で答えた。
「よくぞ聞いてくれました」
「実はニューロードランジャー号が完成したのであります」
「そこで処女航海に皆さんをご招待するのであります」

「へぇ、ニューロードランジャーか…」
「海か…あの子にまた会えるかも…」
冬樹は一人の少女の姿を思い出していた。
「うん、いいね、行こう」

「それじゃあ、準備してくるね」
冬樹と夏美は自分達の部屋に戻っていった。



地下基地内のプール…
以前此処はロードランジャーの格納庫だった。
今はプールに水は無くロードランジャーの姿も無い。
プールの水を日向家水道から取り入れていたことがバレて
使用禁止となっているのだ。

「何よ、無いじゃないの」
プールを見た夏美がケロロに文句を言う。

「こっちであります」
プール横のパラソルのついたテーブルとイス
其処に夏美達が腰をかけた時
「ケロロ軍曹であります」
ケロロの声と共に
「声紋チェク完了、ケロロ軍曹を確認」
の声が聞こえイスとテーブルが床ごと下がっていく。
やがて下降した床が止まったかと思うと横の壁が開いた。

其処には大きな潜水艦が置かれていた。
「これが…ニューロードランジャー?」
驚く二人にケロロは自慢げに説明し始めた。
「このロードランジャーは以前のロードランジャーとちが…」

「そんな事はいいから早く行きましょ」
説明を夏美に止められケロロは渋々と二人を艦内に案内した。

「おお、夏美、冬樹来たか」
ドアが開き中に入った夏美達をギロロが迎えた。
「ギロロ、よろしくね」
夏美の笑顔にギロロは
「ああ、よろしくな」
と言いながら夏美から目を逸らした。

艦内を見た夏美がケロロに尋ねた。
「あれ、他の人は?」
「今に来るでありましょう」

ケロロの言葉どおり
「夏美さ〜ん」
小雪とドロロが入ってきた。
「小雪ちゃん来たんだ」
「はい」

仲良く手をつなぐ二人を見てギロロは少しいらいらした。

「あら、凄いじゃないの」
秋が入ってきた。
「ママ、お仕事は?」
秋の登場に驚く夏美に
「昨日までで仕事もひと段落してね、クルちゃんに聞いて来たのよ」

「クルルに?」
夏美の言葉の意味を理解したのかクルルが
「ちなみに623の奴は来ないぜぇ」
と答えた。

「そうなんだ…」
ちょっぴり期待してがっかりしたらしい夏美を見て
さらにギロロはいらいらしていた。

「ケロロ、こっちは何時でもいいぞ」
と不機嫌そうに言いながら操舵席に戻っていった。

「こんにちは〜」
桃華とタママがやってきた。
招待した全員が揃い、客席に腰を下ろした。

「んじゃ、ニューロードランジャー発進スタンバイであります」

ケロロの声に小隊各員及びモアは作業に入る。
「注水開始!」
クルルがレバーを倒すと格納庫側壁から勢いよく水が流れ込んできた。

「これ…水道?」
心配する夏美に
「これは海の水であります、心配無用であります」
とケロロが説明する。

「水量70%…80%…フルゲージです、おじさま」
モアがドックの満水を知らせる。
「よろしい、ゲートオープン!メインエンジン始動」
「フライホイール接続!」

「オールシステム、グリーンだぜぇ」
クルルが準備の完了を伝えた。

「ニューロードランジャー発進であります!」
「発進!」

ギロロがレバーを引くと
ニューロードランジャーは水路をゆっくり進んでいった。
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