春色の夢(アニメ後日談等)

□あたしだけのナイト
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「ギロロ・・・」

突然動き出したハリウッド版ダンガルの1/1模型が
ケロロや夏美、秋に襲い掛かった時、ソーサーに乗ったギロロが夏美を救い出した。
秋はタママのソーサーに助けられたようだ。

「・・・本当にあんたって直ぐ現れるのね・・・」
ギロロの後でソーサーに掴まりながら夏美はほんの数十分前の
宿泊ホテルでの出来事を思い出していた。

「ギロロ、ギロロ!起きて!」
夏美は倒れているギロロを必死になって起こしていた。
「どうしたの夏美・・・ギロちゃん?」
部屋に戻った秋が二人の様子を見て驚いている。

「あ、あのね・・・」
夏美はこれまでのいきさつを秋に説明した。

シャワーから出てきたら冬樹が冬樹の形をした白い物と一緒にいて自分が大声を上げて驚いた事・・・
その声に直ぐにギロロが駆けつけてくれたのにそれにまた大声を上げて
ギロロに平手打ちをして気絶させてしまったって事・・・

「ギロちゃんこんなに赤くなって・・・相当強く叩いたのね?」
秋の問いかけに夏美は顔を真っ赤にしながら小さな声で答えた。
「・・・それが・・丁度・・バスタオルが落ちちゃって・・・」
「なるほど・・・それで真っ赤なのね」
その時の様子が想像出来たようで秋は笑った。

「その後、冬樹が白い物を追って出て行っちゃったから・・・」
「探すのギロロに手伝ってもらおうと思って・・・」
夏美の言葉に秋は少し溜息をつきながら微笑んだ。
「自分で気絶させたのに?」
「う・・・」
夏美は言葉を失っていた。

「それじゃ、一言いいかしら・・・夏美」
「なに?」
秋の言葉に夏美は緊張した。

「まず服を着なさい、その姿のままではまた同じ事の繰り返しでしょ」
秋に言われるまですっかり忘れていたようで夏美はまだバスタオル姿のままだった。

服を着る夏美に秋が話しかける。
「夏美には凄いナイトがいるわね、なんだか羨ましいわ」
「ナイト?」

「ギロちゃんよ」
「何時も夏美がピンチになったり悲鳴をあげると凄い速さで飛んでくるでしょ」
「タイム計ったら凄いわよ・・・きっと」
「・・・夏美の時だけ・・・ね」
秋は倒れたままのギロロを指でつつきながら嬉しそうに微笑んでいる。

「う、うん・・・それは・・・嬉しいんだけど」
「タイミングがね・・・」
夏美はとりあえず今日着ていた服に着替えながら
自分の為に何時もギロロが飛んで来てくれる事を改めて思い出していた・・・ただ

今日もそうだけど・・・
何時かの温泉露天風呂の時だって・・・
それから、それから・・・

「あたしが着替えている時やお風呂の時に来るから・・・」
色々思い出して更に夏美の顔は真っ赤になっている。
「夏美がその時に悲鳴をあげているんでしょ?」

「そ、そうだけど・・・は、恥ずかしいじゃない」
「バスタオル姿だって恥ずかしいのに今日なんか・・・」
「この前だって液体になってお風呂にまで入ってきたのよ」
「・・・助けに来てくれているって解っていても・・・手が出ちゃうのよ」

「助けを求めるヒロインが薄着か裸なのは漫画だと昔からお決まりのパターンですものね」
服を着た夏美の姿を確認しながら秋はクスリと笑っている。
「漫画じゃ無いんだから・・・」
小さな声で呟くと夏美はギロロを起こし始めた。
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