春色の夢(アニメ後日談等)

□貴方の影が…
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「ギロロを助けて!」

地下基地に夏美が飛び込んできた。
夏美は赤い塊と青い塊の入った鍋を抱えている。

「ギロロ…でありますか…って、ギロロ!これが?」
驚いているケロロに半泣きの夏美はギロロの入っている鍋を渡すと
「あたしを助けようとして、こんなになっちゃったのよ」
と、落ち着かない様子で説明をした。

「はて?赤いのがギロロとするとこの青い奴は?」
「こいつがあたしの事を狙っていたみたいなの」

ケロロが首を傾げていると
「液体ケロン人のギルルだぜぇ」
と、後ろからクルルが現れてケロロに教えた。

「あたしに襲いかかろうとしていた所をギロロが…」

先程はあまりにも突然で訳が分からずにいたが
落ち着いてくるとお風呂に現れた赤い物がギロロで
あたしに危険が迫ってきている事を教えようとしていたんだ…
という事を理解する事が出来た。

『なのにあたしったら…』
『判らなかったとはいえ…』
『よりによってギロロを…』
『フライパンで蒸発させてしまおうとしていた…』

おろおろする夏美に目を丸くしていたケロロが
「クルル曹長、ギロロを助けるであります」
とクルルに命令すると
「りょうかい」
と言ってクルルはギロロとギララをラボへと連れて行った。


やがて治ったギロロやケロロ達を連れてプールに来た夏美は
再び液状化しプールいっぱいに広がったギロロを見て唖然とした。

「くーっくっくっ、あんたがおっさんの為に必死になってるのを見てたら…」
「ちょっとばかりいたずらしたくなっちまってよ…」

次の瞬間クルルは夏美の鉄拳をまともに食らっていた。
「早く治しなさい!」
「りょ、了解…」


今度こそすっかり治ったギロロはたき火の前に座っている。
横に座った夏美が心配そうにギロロを覗きこむ。

「ギロロ、もう大丈夫?」
ギロロは少し横を向いて
「ああ、心配かけたな」
と答えた。

「ありがとう、ギロロ…なのにあたし酷いよね…」
俯く夏美にギロロは慌てた。
「あの状況ではしょうがない…」
「それより、よく俺だと解ったな」

ギロロの問いかけに夏美はギロロの方に顔を向けて
「うん、途中からだけどね…」
と恥ずかしそうに笑顔を見せた。

「あの青いのと戦ってくれていた時に…」
「ギロロの姿が見えたのよ」
「あたしを助けてくれる時の…」
「ちょっとだけ…カッコいいギロロがね」
「で…ああ、これはギロロなんだって…」

「夏美……」
ギロロは顔を赤くしている。

「ねえ、ギロロ」
夏美が少し顔を赤くしてギロロに話しかけてきた。
「なんだ?」

「そ…その…」
何故だか恥ずかしそうにしている。
「み…見たでしょ?」
「なにを?」

「だから…その…」
「お風呂よ…」
夏美は顔を真っ赤にしてむこうを向いてしまった。
ギロロはお風呂の事を思い出した。

咄嗟の事とはいえ…
夏美とお風呂…夏美のはだ…

「い、いや…そ、そんな事は…」
どうにもうろたえてしまう、顔は真っ赤だ。
「やっぱり…やっぱり見たんだ」
「もうエッチ!」

「ギロロのばかー!!」
思いっきり夏美のビンタが入る。

「うわ〜!」

「手ごたえ…あり」
夏美は手に残った感触を確認している。
「よかった、ギロロ、ちゃんと元に戻ってる…って、あれ?」

「…ごめん…ギロロ」

ギロロは星の彼方に消えていってしまった。


 

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