春色の夢(アニメ後日談等)

□「焚き火で」
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此処は日向家の庭にあるギロロのテント横。

ケロロの捏造した『今日の占い』にふりまわされ
怒り心頭に発した夏美によってボコボコにされたケロロ・・・
そんな一日も、暮れようとしていた。


「あースッキリした」

ギロロの焚き火の横でスッキリした顔の夏美が笑う。

「ふん、自業自得ってやつだ」

ちらりと庭の後でゴミのようになっているケロロを見て
ギロロは溜息をついた。

「ギロロ・・・」

それまでニコニコしていた顔を曇らせ
夏美はギロロの名を呼ぶ。

「ん、どうした?夏美」

ギロロは夏美の沈んだ表情を嫌う、
夏美の顔を見て驚き、そして慌てる。

「昨日は本当にごめんね」

その瞳は少し潤んでる、夏美の涙はもっと苦手だ
ギロロは目線を焚き火に落とし

「謝る必要は無い、あのバカが悪い・・・それに・・」
「俺も途中までとはいえ参加していたのだからな」
「謝らなければならんのはむしろ俺の方だ」

わざと夏美の顔を見ないようにして夏美を慰めた。

「でも最後はギロロに助けられたわ・・・それに・・」

きっとギロロは昨日の張り紙を見てから今朝までずっと
真っ白になってあそこに居たんだわ
そう思うと夏美の胸は酷く痛んだ。

「もういい」
優しい物言いだった。
「だって!」
夏美は胸の痛みの分だけ大きな声で叫んだが
ギロロは振り向き夏美を見ると優しく微笑んだ。

「地球の女が『占い』って奴に弱いのは「乙女心」って奴なのだろう?」
「その、なんだ・・その『乙女心』ってのは俺には正直よく分からん」

「ただ」
「ただ?」

「夏美に悩みや迷いがあって困った時は俺に言え・・・」
「話しくらいは聞いてやる」
「それだけでも心が晴れる時もあるだろう」

「ギロロ・・・」

「そんなことより、ちょうどいい焼き加減だぞ」
ギロロは焼けたばかりの焼き芋を夏美に手渡した。

「ありがとう」

夏美は焼き芋を受け取るとギロロを見つめて思った。

『こいつ・・やっぱりいい奴だ、ギロロの言う「乙女心」には違和感あるけど・・』
『自分だって巻き込まれて真っ白になってたのに』
『・・・あれはあたしのせいね、あたしはギロロに対して本当に酷い事をしたんだ・・・』
『しっかり謝らないと・・・でも』
『言葉にするとまた、止められてしまうわね・・・』
『・・・だから』


「本当に、御免なさい」

ギロロの心のこもったお芋を食べながら
夏美は心の中で精一杯謝った・・・
「今度はあたしもギロロに何かご馳走しようかな」

そんな事を考えながら・・・・・


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