夏色の海(恋愛前編)

□「ベストショット」
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夏美は自分の部屋に戻っていた。

携帯電話の画面には先程のギロロの後姿。

「ふふっ」

夏美は上機嫌だ。

夏美の新しい『赤い携帯電話』
赤いボディに開くと液晶の脇には小さなスカルマーク

そして画面には『赤いカエル型宇宙人』の姿。



それから数日たって

「姉ちゃん、見てよ」
「モアちゃんの携帯も軍曹の待ち受けなんだって」
何故か冬樹が嬉しそうに言う。

「なに人の携帯見てんのよ」

「いいんですよ、夏美さん。っていうか心配無用」
モアちゃんがそう言うのであたしも見せてもらった。

「へえ、モアちゃんはやっぱりボケガエルなんだ」
「夏美さん、ボケガエルは酷いです。っていうか事実無根」

モアは笑いながらも抗議する。
「あ、ごめんね」

「モアは、おじさまと何時でも一緒にいたいですから待ち受けも
おじさまなのは当たり前なんです。っていうか正真正銘」

「モアちゃん、何か違うよ」
冬樹が突っ込みを入れている。

「夏美さんはどうですか?」
「え?」

いきなりモアに聞かれて夏美は間抜けな声を出した。
「夏美さんの待ち受けはどんな画像なんですか?」
「やっぱり623さん?」

「え、え、あ、そ、その・・・623さんじゃ無いわよ・・・」

「じゃあどなたですか?」
モアが瞳をキラキラさせて夏美を見つめる。

「い、いや・・あ・・その、お、お花の写真だから・・・」

「そうなんですか・・」
モアは残念そうな顔をした。

そうか、そういえばこの前チラッと見えた桃華ちゃんの
待ち受けは冬樹だったものね・・・
やっぱり皆、何時も見ていたい好きな人の画像を待ち受けにするのね・・・

えっ、好きな人の画像?まさか・・まさかね、
そんな事無いわ・・・
そうよ、これは、この画像はなんとなく、なんとなくなんだから・・・
まさか、こいつがあたしの好きな人のわけが・・・・・

だが、その後このギロロの画像が変更される事は無かった、

再び悪戯を企んだケロロが勝手に開いて見るまでは・・・

「ゲロゲロリ・・・」


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