夏色の海(恋愛前編)

□「ベストショット」
4ページ/6ページ

空の上ではギロロと敵性宇宙人との戦闘が続いていた、
既に50程いた敵の数は30程になっている。
ただ、ギロロの方も徐々に勢いを失いつつあった。

宇宙船の中から増援部隊が出てくる、
「まずいな・・増えてきやがる」

その時だった、
「しまった!」

一瞬の隙を突いて背後から敵が近づいてきた。
「ダメだ、避けきれん!」
ギロロがそう思った瞬間、

遥か下方からビームがのびて敵を貫く。
そのビームの主はパワードスーツに身を固めた夏美であった。

「ギロロー!」

「なつみ!何故お前が!!」
ギロロは目の前に現れた夏美の姿に慌てた。

「助けに来たわよ」
「バカ!危ないじゃないか」

ギロロは夏美を叱るが夏美は聞かない。
「なによ、あんただって今、危なかったじゃない」
「あれしきの事どうという事はない」

「かわいくないわねえ」
夏美は溜息をつくが
「だが、・・・正直助かる、後を頼む」
意外なギロロの言葉に
「O.K.!」
笑顔で答える。

夏美はギロロと背中合わせになって敵を迎え撃つ。
ギロロの失いつつあった勢いは夏美という援護を手に入れたことにより
回復するどころかさらに勢いを増し圧倒的パワーで敵をなぎ倒す。

「・・・凄い・・・」

後を守りながら夏美は呟いた。
こいつ、普段あたしの前にいる時とは別人、
ユリさん達と会った時もそうだったけど・・・

「夏美!ボーッとするな、危ないぞ!」
「え?」

気が付くと目の前に敵がいた。
「しまった!」

身構える夏美の前で敵はギロロの銃に倒れる。

「あ、ありがとう」
「ふ、さっきの礼だ」

目線をそらしながらギロロが答える
が、再び後ろを向くと
「夏美、援護を頼む。宇宙船を直接たたくぞ!」
夏美に声をかける。
「うん!」

夏美の飛行ユニットの羽が広がり夏美とギロロを外から
ガードするように包む。

ギロロは特大のGライフルを転送し照準を合わせる。

「ここまでだ!」

ギロロの放ったビームは敵の宇宙船を貫いた。
大きく歪み潰れる様に宇宙船は消えていった。

「作戦終了だ」

特大のライフルを抱えているギロロを夏美は見ていた。

・・・あ・・なんか、ギロロ・・・かっこいいかも・・・

「こちらスカル1、作戦終了だ・・・ケロロ、聞こえるか?」

ボケガエルの名を聞いて思い出した
そうだ、今ギロロはアンチバリア無しだったわね。
・・じゃあ・・・もしかして、

「携帯電話」

あたしの声に携帯電話が転送される。
パワードスーツ姿の時は変身前に装備していた物(服など)や武器を
音声コマンドで転送できるのだ。(この前知ったばかりだけど)

あたしの前に現れた携帯電話でギロロの写真を撮影する。

そうだ、あたしはこの姿に見覚えがある。
何時もあたしを全力で守ろうとする時の後姿だ。

本気のギロロの後姿、
あたしはこの後姿の写真が撮りたい・・・そう思った。

だって、なんだか・・・かっこいいと思うから・・・

ギロロが振り返る
「夏美、帰るぞ」
「うん」

二人は日向家に戻った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ