□ガラス越しの4
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「おはよう、伊達」

最近おかしい。

「お、おはよ…」

何かおかしい。

「ん?少し顔が赤いな」

小十郎の手が額に当たれば、身体中が熱くなって。

「熱はねぇみたいだが、具合悪くないか?」

「ん…」

「…本当に大丈夫か?」

覗き込むように俺の様子を伺う小十郎の顔が、あんまりにも近かったから。

「っ! 俺もう行くわっ」

「お、おい!伊達?」

後ろで俺を呼ぶ声が聞こえたが、振り向き余裕もなく全速力で逃げてしまった。










無我夢中に走ったため、気付けば学校を飛び出していた。

今からじゃ急いで戻っても遅刻確定。
ゆっくり戻ろうと来た道を戻ろうとすると、後ろに気配を感じた。

「…誰だ」

「流石は独眼竜。そう簡単には捕まえられないか」

振り向けば、そこに居たのは見知らぬ奴ら。

「何の用だ」

「この前やられた礼をしようと思ってな」

「この前?」

「しらばっくれんな。前に俺たちをぶん殴っただろ」

「…?」

「本当に覚えてないのか?」

こくりと頷いた。
喧嘩相手の顔なんかいちいち覚えていない。
しかしそれが気に食わなかったのか、頭らしき奴が俺の胸ぐらを掴んだ。

「覚えてねぇとはいい度胸じゃねえか」

今にも殴りかかってきそうなこの勢いに血が騒ぐ。

「やろうってのか?いいぜ、相手してやるよ」

俺の挑発に相手はのってくると思ったが、捕まれた胸ぐらを離され、一枚の写真を見せられた。

「これ、誰だか分かるか?」

「!」

写真に写っていたのは、楽しく笑い合っている俺と小十郎だった。

風景から察して、この間登校中にたまたま小十郎と会った時に隠し撮りされていたのだろう。




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