□ガラス越しの3
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「政宗!」

今朝のことだった。

「勝手にキッチンを使うなと言ったでしょう!」

「弁当作ろうと思って…」

「言い訳するんじゃない!」

「!」

使っていたフライパンを投げつけられ、左腕に当たる。

「ぐ…っ…」

固さと重さ、そして使用中で熱を帯びていたそれをぶつけられては、痛いで済むはずがない。

しかしこれ以上ここに居ては危険と察知し、鞄を持って家を出た。










「政宗殿!その腕は…!」

半袖の夏服では隠すことの出来ない腕。
真田だけでなく、クラスの奴らからも注目を集めた。

「別に何でもねぇよ。気にするな」

「もしや、また見知らぬ人と喧嘩を?」

「違えよ。弁当作ってた時にやっちまったんだよ」

「そうでござったか。しかし怪我には気をつけなされよ」

「ああ」

俺たちの会話を聞いていたクラスの奴らも納得した…ように見えたのだが。

「竜の旦那」

「あ?佐助か」

声を掛けられ振り向くと、そこには佐助の姿。
ちなみに『竜』とは、喧嘩が強いことで有名な俺の通り名『独眼竜』の『竜』である。

「その怪我、保健室で見てもらった方がいいんじゃない?」

「Ahー、別にそこまででもねぇよ」

「いや、見てもらった方がいいよ。俺様もついてってあげるしさ」



半ば強引に連れ出されて保健室に行くも、先生はまだ不在だった。

「まだ登校時間だからセンセー居ないね。仕方ないから俺様が見てやるよ」

佐助はそう言うと、俺の腕を手当てし始めた。

「お前、こんなことも出来るんだな」

「まあね、俺様天才だから。それよりさ…」

「なんだ?」



「この怪我、本当に自分でやったの?」




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