**words**

□追うが勝ちです
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ダメだ…。
絶対に逃げ切れるわけないよ!

「はぁっ、はぁっ」

息が切れて肺が痛い。
足もガクカク震えるし!

やばい……!
一昨日と昨日はギリギリで逃げ切れたけど、今日の沖田さんは一味違う。気がする。


もしかしてあの人……!
最初の2日間は手ぇ抜いてたのか!!

今日は一瞬でバレたし、何よりも一瞬で追いつかれる!

僕を痛ぶるために追いつめてるって感じがするんだけど…!

「…あンのドS…!!」

「そりゃ光栄でさぁ」

「!」


ダッ!
走って走って走って逃げないと!
てゆーかいつの間に後ろにいたんだよあの人ぉぉ!!!

「…はぁっ、はぁっ、…と、とりあえず隠れないと……」

この独り言さえ沖田さんに聞かれてそうな気がしてこわい!


「あきらめなせぇ」

「!っ…うわぁ!」

また後ろにいるぅぅぅ!!

ダッシュだっ!
なんとしてでも逃げないと……!


ガシッ

う、う、腕掴まれたぁぁ……。
もう……終わった……。



「新八くんもわかってんだろぃ?俺から逃げられねぇって」

なんだこの人!
一人だけさらっと涼しい顔しやがって!
汗だくの僕がキモいだけじゃないかっ!

「はっ、離して下さいよ!」

こんな細っこい腕してるのに!
どこにこんな馬鹿力が秘められてるんだよ!

「離さねぇよ。やっと捕まえたんだ」

……おかしそうに笑いやがってぇぇ!!

「…沖田さん…、最初から僕を捕まえる自信があったんですか…?」

「俺ぁ愛の力があるからねぃ」

「……」

こんな時でもふざけた言い方しかしないんだよなぁこの人!

「それに、俺ぁ負ける戦はしねぇ主義なんでぃ」

「じゃあ最初っから僕の負けは確定してたって事じゃないですかっ!」

「まぁそーいう事になりまさぁ」

「…ずっ、ずるいですよっ!」

詐欺に遭った気分だっ!

「俺ぁお前ぇを手に入れるためなら何でもすらぁ」

「なっ」

「じゃあ、そろそろゲームオーバーでいいですかぃ?」

「ずるい…!」

「なーにがすりぃんでぃ。俺ぁ新八くんへの愛を証明したんだぜ?約束通りじゃねぇかぃ」

そうだけど!そうなんだけど!
なんか…納得出来ない!

「…な、なんで僕の居場所がすぐにわかったんですか?」

「うーん…なんでって言われてもねぃ…。まぁ、新八くんセンサーがビビッと、ね」

「!」


ニヤリと笑った沖田さんの顔に不覚にも魅入ってしまった!



「…なぁ……、俺が本気で新八くんの事が好きってわかってもらえたかぃ…?」

また…そんな普段見た事ないような優しい顔するなんて反則だ…っ!

絆されちゃうじゃないか…。


「…不本意ながらわかりました…」

「じゃあ新八くんはもう俺のモンですぜ?」

「あーもう!それでいーですよっ!約束だったし!」




「……大丈夫でぃ。今に約束ってなんだっけってくらいに俺に惚れさせてみせまさぁ」


「……はぁ」

恥ずかしい人だなぁ……。



一応余裕ながらも、3日間は僕のために走りまわってくれたこの人には、僕からの初めての好きをあげよう。


沖田さんの驚く顔が見たいよ。
…リベンジ、させて下さいね?






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