**words**
□追うが勝ちです
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「好きでさぁ」
「冗談は性格だけにして下さい」
「冗談じゃねぇってんだ」
コレ…いつまで続くのかなぁ…?
この人一体いつ飽きるの?
「はぁ…毎日毎日…わざわざ家まで来てそんな事言いに来るって事は真選組はアレなんですね。暇なんですね?」
「暇じゃねぇよ。俺ぁ忙しい合間を縫ってわざわざ愛の告白に勤しんでるんでぃ」
「それならわざわざ忙しい合間を縫わなくて結構ですから」
沖田さんも男の僕に好き好き言っててよく気分悪くならないなぁ。
「…なんで信じてくれねぇんでぃ」
「信じるも何も…。僕も沖田さんも男じゃないですか」
「……どうしたら好きって信じてくれる?」
なんでそんな辛そうな顔するのかなぁ。
…てゆーか、僕はホモじゃないし!
例え沖田さんがホモだったとしても僕はホモじゃないしっ!!
沖田さんはかっこいいんだから、何も僕みたいな地味で冴えない男を選ばなくてももっともっとイイ男がこの世にはいるのに。
そもそもなんで僕なんだろ?
僕には沖田さんに好きになってもらえる要素なんてないのに。
「……お、沖田さんが本当に僕の事を好きでいてくれてるんだなぁって、僕が実感出来たら信じます…よ……」
い、言っちゃった…!!
でもなんかこれ、本当に僕がホモみたいになっちゃうじゃん……!
あ、なんか沖田さん、目がキラキラしだしたし…。
「そりゃ簡単でさぁ。で、具体的に何をすればいいんで?」
「…か、考えてませんでした……」
わぁぁ僕のバカヤロー!!
「…新八くんらしいねぃ」
「いや、嬉しくないですから!」
「くっくっ、……じゃあここはひとつ、鬼ゴッコでもしやすかぃ?」
「鬼ゴッコ、ですか?」
『悪巧み考えてるよ!』って顔で笑いながら沖田さんが提案した言葉の意味がよくわからないんだけど……。
なんで鬼ゴッコ?
「俺ぁ新八くんがどこに隠れようが逃げようが探し出す自信がありまさぁ。新八くんへの愛ゆえに」
「はぁ…」
「だから明日から3日間、俺から逃げて下せぇ」
もちろん夜は寝る時間だから省くぜぃ、と沖田さんは続けた。
「逃げ続けるだけでいいんですか?」
「おう。行動範囲はかぶき町全体で」
な、なーんだ!簡単じゃーん!
かぶき町って実は広いし、いくら化け物みたいな沖田さんでも仕事しながら僕を見つけるって無理があるよね!
「そんなんでいーんですね!」
「ははっ!簡単だろぃ?」
「はいっ!」
「…………その代わり、3日以内に俺に捕まったら、俺のモンになってもらいやすぜ……?」
……あ、あれ?
なんか今鳥肌が立ったんだけど…。
………こわい…!
やばいくらいにこわくなってきた…!!
でも、もう引くに引けない!
「…お、沖田さんこそ、僕が逃げ切れたらあんな暇潰し、もうやめてくださいよ…?」
「わかってまさぁ。じゃ、明日から楽しみにしてやすぜ?」
言いながら、楽しそうに背を向けて去って行く沖田さんを見て、僕は少し後悔した。
「…早まったかな……」
よし、まずは準備だ。
どうせ依頼もないだろうし、明日からの3日間は万事屋を休ませてもらおう。
銀さんには全てが終わってから説明する。
銀さんならきっとわかってくれるはずだ。
作戦としては、沖田さんから逃げ続けるには莫大な体力がいるだろう。
だから僕は逃げるんじゃなくて、隠れ家を探してそこに隠れていようと思う。
「……うん、頑張ろう!」