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真選組のとある一室。
「確かに僕は誰でもいいって言いましたがね……」
「なんでぃ。お前ぇそんなに俺と同室が嫌なのかよ」
「いや、そもそもね沖田隊長。3番隊の僕がなんで1番隊隊長の沖田隊長と同室になるんですか?」
真選組に入隊したばかりの平隊士、志村新八は沖田に遠慮なく物申す。
新八が真選組に入隊したのは、姉が進めたからだ。
近藤の愛故のストーカー行為に業を煮やしていた姉のお妙は、その鉄槌を持ってして近藤を撃退していた。
姉は撃退した後にはさっさと仕事に行ってしまうので、自然と近藤を介抱する役目が自分になっていたのだ。
(いくらこんなゴリラみたいな人でもほっとけないよね、人として)
そして、真選組に電話を入れて近藤を引き取りに来てもらうのが日課のようになっていた。
引き取りに来る隊士とも、世間話をするくらいの仲にはなっている。
中でも沖田という男はかなり変わった男で、新八を真選組に入隊させようとなぜか躍起になっていた。
『道場やってるだけあってお前ぇの剣の腕は申し分ねぇや。悪いこたぁ言わねぇ、真選組に入隊しちまいな』
『あのねぇ沖田さん。このやり取り何回目ですか?そんなこと僕の姉上が許すわけないでしょ?』
『いい歳こいて姉ちゃんの許可がないと何も出来ねぇかぃ?』
『はい』
くっ…と沖田は言葉に詰まる。
皮肉と嫌味のつもりで言った言葉は普通に受け取られた。
近藤を引き取りに来る担当はなぜかずっと沖田だった。
近藤が目覚めるまでの間、お茶を飲んだり他愛のない話しをしたり。
新八は同年代の友人と言える友人があまりいなかったので、性格の善し悪しは置いておいても、歳の近い沖田と仲良くなっていった。
(この人隊長のくせに毎日来て…暇なのかな…)
と、いうくらいにしか最初は思っていなかった。
だが、気付けば沖田はしつこいくらいに真選組へ新八を誘うようになっていたのである。
『僕なんかを誘わなくてももっと将来有望な若者がこの世にはごろごろいるでしょうが…』
縁側でお茶を飲みながら、いつもの如く断り文句が口から出る。
『俺はお前ぇがいーんでぃ』
『はぁ?なんすかそれ』
『お前ぇが入隊したら絶対ぇ1番隊に推してやらぁ』
『いや、僕入隊しませんから』
沖田はしつこく、執念深く、諦めなかった。
沖田はなぜか、この自分よりも2つ下の少年が気になるのだ。
『お前ぇを近くに置いてたら理由が分かるかもしれねぇ』
『ますます意味がわかんないんすけど』
『あ、近藤さん。起きやしたかぃ?』
撃退されて気絶していた近藤が目を覚ます。
『…お、総悟か。悪いなぁいつもいつもぉ!』
がはは、と笑う近藤に呆れた目を向ける新八。
『近藤さん…。いい加減懲りて下さいよ。このままじゃウチが要塞みたいになっちゃいます』
対ストーカー用に志村家は数々のトラップを仕掛けていた。
それも無数に。
『要塞みたい、じゃなくてまんま要塞だろぃ…』
『沖田さん?なにか言いましたか?てゆーか沖田さんからも言ってあげて下さいよ!人の嫌がる事はしちゃいけないってぇ!』
姉が言っても自分が言ってもダメなので、もうこれは部下に頼むしかない。