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□宣戦布告されました
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「だーかーら!買いませんって!」
「いーじゃん、ケチな駄眼鏡だなぁオイ」
「それもこれも万事屋に仕事がないのが悪いんすよ!てゆーかどさくさに紛れて眼鏡をバカにするんじゃねぇこの天パーがぁぁ!!」
銀さんと買い物にきたらいつもこうなる。
万事屋の経営状態から無駄な買い物は断じてしたくない。
なのに…それをわかってかわからずか、糖分糖分とさっきから本当にうるさい。
ぎゃーぎゃーぎゃーぎゃーと…あ、なんか今の僕なら銀さんをためらいなくボコボコに出来る気がする。
「それにさっきからベタベタベタベタと!暑苦しいんですよ!気持ち悪いから即刻離れて下さい」
なんで僕がスーパーで買い物してる最中に大の大人に(しかも男に)肩を組まれなきゃならないんだ。
「えーいいじゃん。ケチだなぁ、ぱっつぁんはよぉ」
「なにがいいのか僕が納得するまで説明して下さい。本当に暑苦しい!」
「俺がさわりたいからさわってんだよ」
「…」
さっきからこの男はニヤニヤと何を笑ってるんだ。ムカつくんだよコノヤロー。
よし、殴ろう。
と思って右拳に力を込めてたら、
「旦那ぁ」
誰だよ、今いいところなんだよ…。
僕の拳が火を噴くところだったんだよ…。
て、珍しい人だな。
「おー沖田くんじゃん」
「お久しぶりでさぁ」
正直な話し、この人と僕ってあんまり面識がないんだよなぁ。
まぁどっかの国の王子って言われてるくらいだし、関わらないに越したことはないよね。
「何?何か用?」
「いえね、たまたま通り掛かったら騒がしい奴らがいるなぁと思いやしてねぇ」
えぇぇぇ!?つまり注意しに来たってことぉぉぉ!?!?
こんな店内までわざわざ!?
このチンピラ警察はどんだけ僕らを敵視してるんだ!
「別に騒いでねーよ。はい帰った帰った」
銀さぁぁん!よくやった!
銀さんがシッシッて犬にするみたいにして、僕の心はちょっと晴れたよ!
こんな一方的に敵視されたらさすがの僕もムカムカするさ!
「はぁ…ひどい扱いでさぁ。ねぇ、新八くん?」
「え」
えぇぇぇ!?
間違いなく僕らはそんな仲じゃないだろ!?
そんな肩をポンって叩かれて同意を求められるような仲じゃないはずだ!
「おいおい沖田くぅん。俺の新ちゃんにさわらないでくれますぅ?」
おいおい、アンタも何わけわかんないこと言ってんだよ。
「こいつぁ知らなかった。新八くんは旦那のモンですかぃ」
「え、ちが…」
「そーそー。だから、こんなわけのわかんない絡み方して新八と接点を持とうとしないでくんない?」
「あら、バレてましたかぃ?こちとら色々と出遅れてるんでねぇ、こんな方法しか思いつかなかったんでさぁ」
「バレバレ」
「はは、さすが旦那だ」
……さっきからこいつらは何の話しをしてるんだ…。
もうすぐタイムセールが始まっちゃうじゃないか…。
「あのー、銀さん」
「ん?」
「僕、先に行ってるんで…」
これ以上わけのわかんない話しに付き合ってられるか!
このタイムセールを逃したら明日から生きていけないよ!
ウチには欠食児童がいるんだから!
それに…夕御飯が遅れたら(欠食児童から)制裁を受けるのは僕なんだよぉぉ!!
「あ、俺も行くから待ってよ新ちゃん!」
ガシ!
「じゃあまた今度、ですねぃ新八くん」
「……おい、なんのつもりよ沖田くん」
沖田さんは銀さんに用事があるみたいで、袖をガシッと掴んでる。
よし、そのまま掴んでてくれ沖田さん!
僕には時間がない!
「はい、また今度」
僕も社交辞令ってやつを言わなきゃいけない年齢なんだなぁ…なんて考えながら戦場(タイムセール)に向かった。
「あの感じじゃぁ新八くんは旦那のモンって感じじゃなさそうですねぃ」
「うるせーなぁ。これからなるんだよ」
「そんなにうまくいきますかねぃ?俺はもう全力で行かせていただきやすぜ?」
「……あっそ。勝手にすればぁ?だいたい新八が誰のモンになろうとも俺は関係ねーよ」
「…へーぇ?」
「俺は新八が誰のモンになろうとも奪える自信はあるからな」
「…たいそうな自信で……」
「当たり前だろ」
「だからといって俺も指くわえて見てられるタチでもないんでねぃ」
「だから勝手にしろって。明らかに出遅れてる沖田サン?」
「…楽しくなってきやしたねぃ。明日から毎日どうやって攻めていくか考えただけでゾクゾクしまさぁ」
「…さすがドSだなぁオイ。まぁこれだけは言えるわ」
「「新八(くん)は渡さねーよ」」
終