逆トリ!

□02日目
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…私、蒼月 歌儚は、今まさに…

殺されそうになっています。


『あの、殺すって…』

「見たままです。僕のこの武器で貴女を刺す事が出来ます。正直に話してください」

『えっと、わ、私にも分からなくて…その、昨日は普通にこのベットで寝てたんだけどっ、朝起きたら貴方が居て…』

「………名前を知っていた事については?」


怖い、本当に怖い。今ここで、この状況で「貴方は此処の世界では漫画の登場人物です。だから知っています」何て言って信じてもらえるのだろうか?

骸の愛用の三叉槍が自分の首元に…その、少しでも動いたらグサッといきそうな位の距離にあるからには、事を荒立てるのは良くない。

かといって嘘を言ってしまうと、骸の事だ、グサッとやってしまうのだろう。これは如何するべきか…


「何故黙っているんですか?早く言わないとグサリ…ですよ」


どこかで聞いた事のある台詞&死亡フラグ!!こうなれば漫画を見せるしかないか…


『すいません、名前についての説明のために見せたい物があるんだけど…』

「…どうぞ、取りに行っていいですよ。ただし、少しでも怪しい動きを見せれば殺します」

『は、はい…』


隣のお兄の部屋に置いている漫画を取りに行った。勿論、後ろには骸がいる。


『これ、何だけど…』

「……これは…僕?」


骸が表紙の巻を見せた。


「中を見せてもらっても?」

『あ、その前に…今は中学生ですか?』

「…いいえ、僕は高校生です」

『じゃあ、どうぞ』


高校生?骸は復讐者に捕まったまま約十年間過ごしていたはず…

まさか、パラレルワールドから?それとも、原作が終わった世界から?


「…どうやら、此処は僕のいた世界ではなく、この世界での僕は漫画の登場人物…のようですね」


そう言いながら骸は三叉槍をおろした。


『…信じてくれますか?』

「信じるしかありませんね。事細かに書かれているこれがあるなら」


どうやら死亡フラグは解除されたようだ。


「さて、こういうことなら仕方ありません。しばらくの間、ここに置いてもらえないでしょうか?」

『え…何で』

「よく考えてください。僕はこの世界では自由に動く事の出来ない存在、それに、此処からこの世界に来たなら、此処からもとの世界に帰れると考えるのが普通でしょう」

『それはそうだけど…』


一人暮らしなわけでもないし、お母さんが何と言うか…


「歌儚〜、起きなさい!良いお知らせよ〜」

『お母さんだ…とりあえず、貴方の事をお母さんに話してみるけどいい?』

「そうですね、此処に居るとなれば避けては通れない道でしょうし」


こうして、私達はお母さんの声のする下の階へと向かった…



。。。。。
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