海賊日記

□魚人島U
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少し歩いて、やっと魚人街に着いた。
周りは魚人ばかりで、人間はかなり少ない。

魚人の私たちを見る目は、なにか異質なものを感じた。


「なんであの魚人に会いてェと思った」
『ジンベエのこと?・・・戦争が終わってから安否が気になってて。』
「知り合いなのか?」
『白ひげの船に乗っているとき、何度か会ったことがあるから。ローこそ知り合いなの?』
「・・・いや。」
『そっか。』

返事までの間が少し気になったが、目の前を通った魚人たちの話によって気が反れた。


「ジンベエさん、だいぶ良くなってたな」
「あァ。傷も癒えてるみてェだしな!」

“ジンベエ”!!

すぐさまその魚人たちを引きとめた。

『そこの二人!ちょっと待って!』

「なんだァ?」

『私、ジンベエに会いたいの!場所教えてもらえる?』

「・・・お前はジンベエさんの何だ?」
『何って・・・知り合いよ。』
「人間が、か。ジンベエさんもまったく優しい人だ。」
『・・・。』

魚人たちの言い方が皮肉に感じた。

『お願い、どうしても会いたいの。』

「とか言って、ジンベエさんに危害を加えるんじゃねェだろうなァ?」
『そんなこと、「おい。」

間に入ったのはローだった。



「コイツが本気なのがわかんねェか?」



ローの一言はとても静かで、重いような、深いもの。



「・・・わかったが、俺たちが見張らせてもらうぜ?」

『・・・どうぞ。』



魚人たちに挟まれながら案内されたのは、一件の家の前。


「ここでジンベエさんが休養してる。」

やっぱり、赤犬さんに肩をやられたから・・・。



もう辞めたとはいえ、自分が海軍だったことを思うと何とも言えない苦しみに襲われた。


すっと腰に手を回したロー。
いつでもそうだ。私の気持ちを知ってくれてるように。
ローの体温で少し苦しみがとれた。


「俺はジンベエさんに許可を取ってくる。お前ら、名を名乗れ。」

『** ##。』
「トラファルガー・ロー。」

「お前・・・億越えのルーキーのか!?」

「あァ。」


一人の魚人が家の中へ入っていった。


『私、会ってもいいのかな・・・。』

ぼそりと呟くと、ローの手は少し私を引き寄せた。



「ここまで来たんだ。・・・止めておくか?」


『・・・ううん。ローがいるから、大丈夫。』



私はまだ、ローがいないと何もできないみたい。

ローに頼ってばかりの自分が悔しかった。



しばらくすると、先程中に入っていった魚人と、会いたかった人が出てきた。


「すまんなァ、**。お前さんも無事じゃったか」

『ジンベエ!!』
「・・・。」

肩に包帯を巻いて出てきたジンベエ。
以前よりも髪が伸びて、雰囲気も少し変わったようだ。


『動いて大丈夫なの?!』
「もう元気じゃわい。そこの男のおかげでなァ。」

ジンベエの視線の先にはローがいた。


『ちょっと待って・・・ロー、さっき、知り合いじゃないって・・・』

「・・・他はいいにしろ、まだ肩の傷は癒えてねェはずだ。」
「わしかて完治するまで寝ているわけにもいかんのじゃ。じゃが、お前さんには本当に感謝しておる。」
「・・・。」

「**、トラファルガー、立ち話はやめにして中に入れ。」

「ジンベエさん、俺たちは・・・」

「案内ご苦労じゃった。こいつらが悪い者でないことはわかるじゃろう。」


ジンベエが言うと魚人たちは去っていった。


「どれ、狭い家じゃが入ってくれ。」
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