海賊日記
□死の外科医Z
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――――――・・・・
ゆっくりと目を開ける。
ずっと眠っていたような感覚に陥る。
しかし、以前感じていた違和感はどこにもなく、肌がこの空気を感じ、全身でこの空気を味わっているような気がする。
「起きたか。」
『・・・・!!』
久しぶりに聞いた気がする、あの忌々しい声。
すぐさま身体を起こした。
『ドフラミンゴ!!私はあなたを許さない!』
「フッフッフ・・・戻ってこれたんだ。運は味方してくれたじゃねェか」
ベロリと舌なめずりをするこの男には何の恐怖も感じない。
『あなたのせいで酷い目に遭った。』
「でもお前ェ・・・いい経験になっただろ?」
『・・・。』
その言葉はあながち間違ってはいなかった。
しかしこの男に言われると否定したくなるのは、この男が私を異世界へと突き落とした犯人だからだろう。
「じゃあ、俺にこの泉の先で起きた事を全て話してもらおうか?」
『いやよ。』
「・・・あァン?」
『私はあなたとそういう契約はしてないわ。あなたが勝手に突き落とした、そうでしょ?』
真っ直ぐドフラミンゴを見て言えば、気味の悪い笑みを見せ、私を肯定した。
『・・・この泉の先が知りたいなら、今度は自分で行ってみることね。』
それだけを言い残して、私は島に停めてある小船に乗った。
まだここに小船がある・・・。
一体、戦争が終わってからどのくらい経ったの・・・?
「14日。2週間だ。」
『・・・・。』
ドフラミンゴが陸の上からニヤと笑ってそう言った。
あっちに居たのが約1ヶ月間。ということは、あっちの世界の時間はこっちの世界の2倍ってこと。
『教えてくれたお礼に、一つだけあっちの世界でのこと教えてあげる。』
「ほう?」
『私があっちの世界にいた時間。こっちの世界では2週間だけど、あっちの世界で換算すると1ヶ月。あっちの世界の時間はこっちの世界の2倍になる。』
「フッフッフ・・・大していい情報じゃねェな。」
『もうあなたとは会いたくない。会わないでしょうね。』
「強きな女だなァ、本当に!安心しろ。お前はもう用済みだ。フッフッフ!!」
不気味に笑うドフラミンゴに背を向け、小船を出した。
向かうは、
シャボンディ諸島。