海賊日記
□非常識人V
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「じゃあ**ちゃんはここで待っててね!本読むのは自由だから!お昼には戻ってくるから。」
**をつれてきたのは、大学内にある図書館。本が好きらしい**。これなら暇にはならないだろう。
『わかった!がんばってね。』
「おうっ!」
『・・・待って☆☆!』
**の声に振り向く。
「どうした?」
『私のこと、**って呼んで!ちゃん付けはなし!』
「了解!じゃあ後でね、**!!」
微笑んで手を振る**を背に、小走りで授業へ向かった。
「あ!☆☆ー」
いくつかの授業が終わったし、次の1時間は空いてるから**の元へ一度戻ろう。
そんなことを考えながら通路を歩いていると、聞き慣れた声が私を呼んだ。振り向けば同じサークル仲間のリョウちゃん。
「リョウちゃーん!今日サークル行くでしょ?」
「もちろん!それよりさ、見てよこれ!」
リョウちゃんがニヤニヤしながら取り出したのは、漫画【ONEPIECE】の単行本。
「出たな、ワンピースオタクめ!」
「最高の褒め言葉ね!」
フフンと鼻を鳴らすリョウちゃんはページをぱらぱらと捲る。
「これよこれ!やっぱ王下七武海、滅茶苦茶カッコイイ!!」
リョウちゃんが指差すのは“王下七武海”という部類のキャラクター。帽子から耳みたいなのが生えてて、まるで熊みたい。仏頂面で何か怖いキャラクターだな。
・・・あれ?私、リョウちゃんに何か聞きたい事あったんだけど、なんだっけ・・・。
「あ、あとね、新しく登場してきたのがこのキャラ!カッコイイよねー!!」
だんだんヒートアップしてきたリョウちゃんが指差すのは、隈のひどいスタイルのいい男キャラ。
「悪そうな顔っ!」
「そこがまたカッコいいんだよねー!トラファルガー・ロー!」
“トラファルガー・ロー”
ひっかっかる・・・。
あれ・・・確か**が言ってたのって・・・
―――「え!?トラさんって言ってたよね?」
『トラファルガー・ロー。長いから覚えにくいのはあるけど、トラさんって・・・あははっ』
「ローさんってのも馴れ馴れしいから、やっぱりトラさんって呼ぶ!ははっ・・・
「あァぁああ!!!」
「うおっ!!ちょ、いきなり大きな声出さないでよ!!」
「そうだよ!!そいつだよ!!ちょっとこれ借りる!!」
「は!!?それ買ったばっかりなんだけど!!!」
「そのうち返すーー!!!」
リョウちゃんが持っていた単行本を(半ば無理矢理)借りて、急いで**のいる図書館まで走った。