海賊日記

□死の外科医W
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「俺、**の事が好きだ」

夜、船員の一人と見張り台にいるとき、突然こんな事を言われた。

愛の告白は初めてじゃないけど、仲間と思っていた人にこう想われていたなんて知らなかった。

『ごめん。私はそうい「やっぱり、船長とデキてたんだな・・・」・・・え?』

思いもよらない言葉に、ただ呆然とするしかなかった。

「最近、船長の様子がなんかおかしいんだ、うまく言い表せないけどよ。それも、**が来てからだ。」

だからそういう噂が立ってるんだ。そう言った船員。


『私、のせい?』

「いや、そう言いたいんじゃないんだ。ただ、**が来てからは、船長がどこか丸くなった感じがしてよ。**のせいというより、おかげって言うべきだろうな。」

ニカッと笑って私と目を合わせる船員。


『私のおかげ・・・か。私とローはそんな関係じゃないと思う。』

あえて“そんな関係じゃない”とは言い切らなかった。
何故だろう・・・。


『ここだけの話ね?私、実は結婚相手がいるの。』

「・・・はっ!?」

『相手は、確か面識の無い政府の人間だったかな・・・?』

「お前、それ・・・・・船長は知ってんのか?」

どこか焦った表情の船員。

『いや、一言も言ってないけど・・・。』

「まじかよ・・・ι」

あちゃー、と両目を手の平で覆い、困った様子だ。


「ちゃんと、明日とかにでも言えよ?」

『え?なんで?』
「**ーー!!お前の電伝虫、鳴ってるぞー!」

下から他の船員が大声で言った。
まだ理由聞いてないのに・・・・。

もやもやしたままだけど、私の電伝虫が鳴るなんて只事じゃないだろう。

『いってくる・・・!』
「あァ!ここは任せとけ!」

下に降りて、電伝虫を持っていた船員から受け取りお礼を言うと、急いで自室へ向かった。



一体なんだろう・・・。
今までアッチからかけてきたことはなかったのに。



―――ガチャ。

『もしもし。』
《もしもし?**ちゃん?久しぶりだねェ》

この馴れ馴れしい言葉遣いは・・・

『クザン大将?』
《その呼ばれ方慣れてないからやめてよ〜。》

へらへらと言うクザンさんに、少し緊張していた身体から力が抜けていった。

『あの、いきなりどうなされたんですか?』
《あァそうそう。もうすぐ、海軍本部に強制召集されるよ。》

急に上司のような口調になったクザンさん。
私の身体も緊張していた。

《知ってるだろ?白ひげが動き出す。》


元白ひげ海賊団である、黒ひげことマーシャル・D・ティーチが、白ひげ海賊団2番隊隊長であるエースを討ち取り、それを海軍に差し出すことで、王下七武海になった。
ティーチはそれより前にも、海賊船での大罪である“仲間殺し”をした。

もうすぐ、白ひげが海軍本部で暴れ出す。
頂上決戦が始まる。


《**ちゃんはまだソッチにいていいらしいから。》
『・・・はい。わかりました。』


そうなったら、この船に乗っているのもあと少し。

《あと、最後に・・・》
『・・・?』


《あんまり、のめり込むなよ?》



そのたった一言で、心臓がひどく痛んだ。

《じゃあまたね〜。》
――ガチャ。


その意味深な言葉が、私の脳内を駆け巡る。
うるさいくらいに響いている。

でも、なんで・・・・。
心当たりなんて・・・・・・。

私の心臓は、まだ落ち着かないままだった。
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