そしてあなたに出逢った
□結局はそうなるの
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幹部の部屋に連れて行かれ、二人と向かい合って座った。そして、二人は深く頭をさげた。
「悪かった。お前が他の奴等にそんな扱いされているとわからなくて。」
ドレッドが服を強く握り締めている。
「俺たちには何でも言ってくれるんだと思ってたんだ…。でも、不甲斐無かったよな。悪い!」
ブッシーも頭をガシガシと掻いて寂しそうな、悔しそうなをしていた。
『なんでそんな顔するの…?二人は何もしてないし、傷つきもしないでしょ?』
私がそう言うとまたくやしそうな顔をする。
「キッドの頭があの性格だからな、俺たちが名無しのサポートをしてやろうと決めてたんだよ。あと、キラーの奴も…な。」
ドレッドがちいさくため息をついて言った。
キラー…あの仮面の人、私のこと嫌ってると思ってた。
「一旦頭とか、ほかの奴とは距離を置け。」
『…うん。』
「今晩には島に着く。でもな、俺たちは頭から、お前を船から降ろすなんて聞いちゃいねェし、ただのくだらない戯言だ。気にするな。」
『うん。』
「島では…俺たちと一緒に行動しろよ?」
『うん。』
同じ返事しかしない私に、ドレッドが優しく微笑んで言う。
「今日はこの部屋使っていいぞ。頭の部屋には行きづらいだろ。」
『わかった。いろいろ…ごめんね』
謝るな。そう言って二人は部屋を出ていった。ベッドの中に潜りこんで、たくさん泣いた。
私の居場所はどこ?
キッドは何を考えてるの?
私はどうすればいい?
答えがわからないまま、私は自然と眠りに導かれていった。
目が覚めて、船の中には船員たちの気配がほとんどないのを感じとった。
部屋を出ると、ばったりキラーに出くわした。
「…体調は大丈夫か」
『あ、うん…。みんなは?』
「島に行っている。」
『そっか。あ、私がいるからキラーは島に行けないんだよね。私は大丈夫だから、行って?』
「いや、いい。」
『…私一人じゃ頼りないよねー』
ははっと軽く笑うと、いや。とまた否定の言葉を返された。
「今日は行かない方がいい。キッドが暴れてるだろうからな。」
キラーが島の方角を見てボソッと言った。
島を見てみると、遠くから悲鳴のような声と、まるで爆発が起こっているような響きが聞こえてきた。
『キラー、キッドはなんで暴れてるの?』
何気なく聞いてみた。その内容がどうであれ、キッドが私を考えてたらいいな、なんて思ってた。
すると、キラーは渋りながらも口を開いた。
「名無しは傷ついたか?」
『なにに?』
「あいつらに酷な扱いをされて。」
あいつらというのは私を敵視していたあの船員たちのことだろう。
『…うん、傷ついたよ。ありえないくらい。キッドに酷いことを言うくらい。』
「キッドの気持ちは俺も詳しくはわからないが…キッドはお前のために、」
『…!待って!キッド、あの人たちを…殺すなんてことないよね!?』
黙るキラーに、全身の血の気が引くのがわかる。
『うそでしょ?仲間なんだよ!?』
「キッドは船長だ。」
『…意味わからないよ!』
船を降りて、騒ぎのする方へ全力で走った。