そしてあなたに出逢った
□海上生活
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『・・・。』
「なに突っ立ってやがる。さっさと乗れ。」
初めて見た大きな船をまじまじと見つめる。
フェリー以外でこんな大きな船初めて見たわ、本当。
感心していると腰に腕を回され、体が浮いた。
『は!?何!』
「お前が遅いからだ。」
犯人は仮面である。
梯子も何も使わずに自身の跳躍力のみで船に乗ってしまった。
『すごい。そこらの絶叫マシーンよりもスリルあった。』
木でできた床にへたり込むと他の悪役達はまた大笑い。
「キラーさん相手にそんなこと言えるのはお前位ェだな!」
「早く持ち場につけ。」
「「「おォー!」」」
急にどたばたと走り回る悪役達を呆然と見つめる。
悪魔と仮面は何か話しているようだ。
『・・・。』
私何もしなくていいのだろうか?
・・・でも無闇に手を出して邪魔しちゃうかもしれないし。
すっと立ち上がり、目の前に広がる大海原に目を向けた。
私、一体どこに来たんだろう。
**と同じ世界にいるのかな・・・
**はどこにいるんだろう。
まず日本ではない事は確か。こんなV系の人の集団見たことないし、街の人たちの会話からもそう判断できる。
外国だとしてもこんな悠長な日本語話してるんだからそれはない。
もしかして、**は街にいる・・・!?
『ねェ悪魔!!』
仮面と話している悪魔の腕を両手で掴んだ。
「誰が悪魔だテメェ!」
『街に戻りたい!』
「なに言ってやがる。もう出港準備が整った。あとは島を出るだけだ。」
『お願い!探したい人がいるの!』
「探したい奴だ?」
『**って言う女の人!私の親友なの!』
「**って、海軍中将のか?」
仮面が聞いてきた。
『そう!』
「なんでキラーが知ってんだよ。」
「少し前に話しただろう。海軍本部最年少の女中将、名は**。」
「最年少ってだけだろ。」
「その女は政府の特令により、海賊たちの情報を自ら手に入れているらしい。海賊船に乗っては降り、乗っては降りを繰り返し、海賊のスパイをしているという噂だ。」
『すごい仮面!よく知ってるね』
「その内のある海賊船では、全員記憶喪失の状態で海軍に見つかったという事件もあったが・・・」
「記憶喪失?まるでその女の仕業みてェじゃねェか」
『だって**、記憶を操れる能力者だよ?』
当たり前じゃん、と言うと、二人は少し驚いた表情をした。
「・・・で、てめェがその女を探してェってか。」
『だからお願い!』
「俺たちはこの島に5日間滞在していたが、その女はいなかった。」
『嘘・・・』
やっぱり手を離しちゃったのが悪かったのか。
「残念だったな!」
笑って去ろうとする悪魔のワインレッドのコートを掴んだ。
悪魔は何やら面白そうな眼をしている。