そしてあなたに出逢った
□結局はそうなるの
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船から離れた場所で、船員たちを睨みつける。名無しに随分イイ事してたんじゃねェか、と言えば、明らかに顔に出てやがる奴が数人。
そいつらの足を、持っていた銃で撃ち落とした。
「何をしたかは知らねェ。だがな、あいつは俺の仲間だ。どうなるかはわかってんだろ?」
腕に金属を纏い振るう。金属が鳴る音の隙間に、あいつの声がはっきりと聞こえた。横目に見えたあいつは、ドレッドとブッシーに押さえられ、俺の攻撃の邪魔にならないようにしていた。
標的を吹っ飛ばすと、名無しが酷ェ顔して俺のコートにしがみついた。
『もういいの!キッド、やめてっ』
「まだだ。あいつら生きてやがる。」
『私大丈夫だから!キッドが…仲間だって言ってくれただけで、もう十分なの!』
掠れた声の叫び声を聞いて、腕の金属を地面に落とした。
名無しの服装はボロボロで靴は片方無くなってやがる。どんだけ必死なんだよ。
「他にやった奴はいねェのか。」
そう問えば名無しは倒れてる奴らを見て、もういないと首を振った。
身体的にも精神的にも疲れてやがる名無しを連れて、船に向かった。連中は好きにさせた。
船長室に入る前に、キラーに声をかけられた。
「…怪我はしていないようだな。」
「あァ」
「ちゃんと話つけろよ?」
「あァ」
部屋に入ってベッドに導かれ、その縁に座った。
「なんでそんな必死で来やがった。」
『…わかんない。本能的にかな?』
「……名無し、悪ィ。」
驚いた。キッドが謝るなんて。このキャラだし、この性格だし、謝るのなんて一生ないと思ってた。
『…なんでキッドが謝るの。』
「あんな奴らを船に乗せるなんざ…俺の責任だ。」
『…そんな真面目な顔しないでよ。私は、キッドの憎たらしくて悪魔みたいな顔のが好き。』
好きって言った瞬間、後から恥ずかしくなった。
「…。」
『…キッド。私は、キッドの仲間?』
するとさっきキラーと話していた時と同じような、単調な返事が返ってきた。
「俺の、俺たちの仲間だ。…まだ俺たちを信じられねェだろうが…お前が仲間であることに変わりはねェ。それだけは覚えとけ。」
『…キッド、』
ごめんね。
「…謝られていい気はしねェな。」
『…ごめん。』