そしてあなたに出逢った

□結局はそうなるの
2ページ/3ページ


船から離れた場所で、船員たちを睨みつける。名無しに随分イイ事してたんじゃねェか、と言えば、明らかに顔に出てやがる奴が数人。

そいつらの足を、持っていた銃で撃ち落とした。

「何をしたかは知らねェ。だがな、あいつは俺の仲間だ。どうなるかはわかってんだろ?」

腕に金属を纏い振るう。金属が鳴る音の隙間に、あいつの声がはっきりと聞こえた。横目に見えたあいつは、ドレッドとブッシーに押さえられ、俺の攻撃の邪魔にならないようにしていた。


標的を吹っ飛ばすと、名無しが酷ェ顔して俺のコートにしがみついた。

『もういいの!キッド、やめてっ』

「まだだ。あいつら生きてやがる。」

『私大丈夫だから!キッドが…仲間だって言ってくれただけで、もう十分なの!』

掠れた声の叫び声を聞いて、腕の金属を地面に落とした。


名無しの服装はボロボロで靴は片方無くなってやがる。どんだけ必死なんだよ。


「他にやった奴はいねェのか。」

そう問えば名無しは倒れてる奴らを見て、もういないと首を振った。


身体的にも精神的にも疲れてやがる名無しを連れて、船に向かった。連中は好きにさせた。

船長室に入る前に、キラーに声をかけられた。

「…怪我はしていないようだな。」

「あァ」

「ちゃんと話つけろよ?」

「あァ」
















部屋に入ってベッドに導かれ、その縁に座った。


「なんでそんな必死で来やがった。」

『…わかんない。本能的にかな?』


「……名無し、悪ィ。」


驚いた。キッドが謝るなんて。このキャラだし、この性格だし、謝るのなんて一生ないと思ってた。


『…なんでキッドが謝るの。』

「あんな奴らを船に乗せるなんざ…俺の責任だ。」


『…そんな真面目な顔しないでよ。私は、キッドの憎たらしくて悪魔みたいな顔のが好き。』


好きって言った瞬間、後から恥ずかしくなった。


「…。」

『…キッド。私は、キッドの仲間?』


するとさっきキラーと話していた時と同じような、単調な返事が返ってきた。


「俺の、俺たちの仲間だ。…まだ俺たちを信じられねェだろうが…お前が仲間であることに変わりはねェ。それだけは覚えとけ。」

『…キッド、』


ごめんね。








「…謝られていい気はしねェな。」


『…ごめん。』
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ