黒い封印

ある日突然、私の平凡だった人生が
いきなり、波乱の渦に巻き込まれた。
ある男のせいで・・・


「ミチアスさん!」
めがねをかけたいかにも怖そうな先生に呼ばれたのは、
ミチアス・オール。14歳。
エルフ族の下級の家に生まれ、勉強まあまあできるといった具合で、とにかく平凡なのだ。

そんなミチアスが学園長に呼び止められるなんて、ありえないことだった。

「なんでしょうか?学園長。」
震える手を押さえながら、ミチアスは言った。
「あなたを養子に貰いたいというひとがいてね。どうかしらと思ったの。」
学園長は笑顔にそう言った。
ミチアスは、動揺を隠しながら
「そういった件でしたら、両親に伝えてください。私には決定権はありませんので。」
「あなたの両親は、どちらでもいいといっているの。決めるのはあなたよ。」
あまりの衝撃で、ミチアスも目をみひらいた。
私に決めろというほうがおかしい。
普通いきたくないというに決まっているのをわかって、きているのか?
でも、私は普通じゃなかった。早くあの家をはなれたくてしかたがなかった。
いいチャンスが舞い降りてきた。
うれしくて、そこらじゅうを駆け回りたかったが、やめておいた。
おこられるのがおちとわかっていたから。
深呼吸をし、学園長をまっすぐみつめ、静かな声で
「養子にいきます。」

これが、あの男と会うきっかけである。

つづく

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