□第5章
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「せんぱ〜い〜。」
うだうだの後輩が近寄ってくる。

今日は試合前日。
各自で調整中。

莉唖は2000メートルを50秒ペースでやろうとしているときに後輩は駆け寄ってきた。
「なんだよぉ〜」
「あたしもやる。」
「は?・・ま、いいよ、早く準備してきな。」

「はぁ〜い!!」
ほんっとかわいいんだから!
おもわ笑顔になってしまう。

2000メートルが終わり、200メートルを2本。
最後に50メートル。

50メートルはホームの確認と襷の受け渡しの練習。

「先輩!あたしのホームみてて!!」
「うちも!!」
「私も!!」

「ぅわかった!!はよやれ。」

「いきまーす!」
腕をおもいっきりふり莉唖の前を駆けていく。
「足のけりが足りない!リズムよく!土をかくように!!」
「わかんないよー。」
「タメ語を使うな!あほ。」
「じゃあ、先輩やってよー」
「はいはい。やりますよー。ちゃんとみとき。」

スタートラインに立つ。明日もこうやって背筋を伸ばし、立つことになる。

体勢をひくくする、
「いきます!!」
足を思いっきりける。
脇はしめて、足の回転を速くする。
腕は後ろにもちゃんと振る。

すべて顧問が教えてくれた。
びりだった私をここまで成長させてくれたひと。

「さすが先輩!」
「んなわけあるわけないやろ。あんたもできるよ。私ができてるんだからね。」

「絶対無理」

「はいはい。そういうのいいから、早くやんな。」

「はぁーい」

最後の駅伝になるかもしれない明日。

後悔は許されない。

この駅伝部で涙を流したい。

明日は自分ひとりで走っているわけじゃない。

駅伝部みんなで心がひとつになる。

いやなとこもいいところもすべてつつみこむよ。

襷にこめ想いは同じだと信じているから・・


つづく

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