君に似合う花

□君に似合う花
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「君が転校生か」


ドアをノックして入ると、一斉に皆が振り向いた。

それに驚いてギクシャクしながらも一番近くにいた先生に話をすると、間もなくして別の先生がやって来た。

きっとこの人が担任なんだろう。



『は、はい。神田恵美です』


「そうか、おれは3年B組の山口秀世だ。宜しくな」


明らかに明るい感じの先生だ。

でも、優しそうな人で良かった。


それから、担任の先生と一緒に教室へと案内された。
















*****



「おれが名前を呼んだら入って来いよ?」

『はい』



「よし。
お前らー席に着けーー」


出席簿を肩に乗せながら、クラスの中へと入っていく先生。

私は何を言えばいいのか、緊張していた。



『まずは、第一印象が大事だっていうよね。でも私、なんて言えば…』


頭の中がぐるぐるしている。


『あ、そうだ。
手に人って文字を書いて飲み込んだらいいって言うよね』


でも結局あれは効果ないって聞くし…


『じゃ、じゃあ…
笑えば…って一人で笑うって気持ち悪いよ』


あああ…

とかなんとかしている内に、出席を確認した先生が声を張り上げる。


「今日は転入生が来ている。このクラスの新しい仲間になる奴だ。

神田恵美!入って来い!!」


『うわわ…名前呼ばれた。
もうなんにでもなればいい………て、ふわっ!?』





ドンっ ガシャーン!


「いっ痛ぇ!!?」
『痛い!』


ドアを開けて入ろうとしたら、男の子が突撃してきました。




「あぁぁっ……!」

『す、すみません!大丈夫ですか!?』


かなり、痛がっている様子の男の子。
私は倒れた状態でなんとか話した。



「おいお前ら何があった!?」


戸を少し開けていた為に、廊下での出来事は聞こえていたようだ。

先生がびっくりして半開きのドアを開ける。


『い、痛い…』

「…………」


ああ…。
第一印象も失敗だ。


「…………山ちゃん」

「ん?」


今まで一言も話さなかった男の子が、先生に向かってか細い声を発した。






「俺遅刻じゃなぃ「んなわけあるか!!」………………ちっ!」


先生達のやり取りを見て、生徒達は爆笑していた。

なんだか楽しめそうだけど、私の存在忘れてませんか?















「まぁ……こいつが転入生だ」

なんとかクラスに入り、黒板の前に立たされた。


『えっと…神田恵美です。よろしくお願いします…』


ぺこりと一礼をすると、小さな拍手があった。



「神田の席は…
窓際の……空いてる席だ」



ちょっとした人騒動で、クラスが明るく見えた。

私の席は、何故か隣が空いている席でした。








(ネムの花言葉は、胸のときめき

『(なんとかやっていけそうかも)』

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