合宿編
□合宿の王子様(4)
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「すまんなぁ。どうしてもって金ちゃんが言うもんで………」
「だってな白石!コシマエおるから行きたかったんや!」
跡部先輩と手塚センパイの前には、見知らぬ男性が軽く頭を下げている。
私達マネージャーは、黙って三人の様子を見ていた。
「ねぇ」
『はっ、はい?』
不意に呼ばれて振り向くと、そこには美人さんが居た。
「恵美ちゃん、だよね?」
『はい』
あまりにも美人さんなので、思わず見とれてしまった。
「真田達から聞いてるよ。立海から来てくれた時は、いなくてごめんね」
申し訳ないと私に謝る彼は、先ほど跡部先輩と居た彼だ。
立海と聞いて、この人が立海の部長さんなのだと初めて知る。
『あ、いえ!気にしないでください』
慌てて言葉を返すと、優しく微笑んだ彼。
その姿が本当に眩しくて、すごく綺麗だった。
「改めて紹介するね。俺は立海大テニス部部長、【幸村 精市】。宜しくね」
『はい、宜しくお願いします』
ペコリと頭を下げると、にっこりと笑ってくれた。
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「………わかった」
もう全員に伝えているみたいなので、今更訂正することは面倒だと言って、跡部先輩は渋々といった様子で了承した。
「本間か?!」
赤髪の男の子が、目をキラキラさせながら跳び跳ねている。
「すまんなぁ、宜しく頼むな」
「あぁ」
とりあえず、マネージャーに挨拶しろと跡部先輩は彼に言った。
「四天宝寺中の部長、【白石 蔵ノ介】言う者や。合宿ではよろしゅうな」
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『ご飯の用意しない?』
部屋に戻ると、今夜のご飯の準備の話になった。
「はいはい!私、お米!」
「却下」
「なんで?!」
「なんだか洗剤で洗いそうだから」
「酷い!!」
悩みに悩んだ結果、役割分担ができた。
マネージャーの作る料理は美味しいのか美味しくないのか…
それは、まだ知る由もない。
合宿と役割分担。
(で、何作るの?)
(無難にカレーじゃね?)