合宿編

□合宿の王子様(3)
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「私は青学のマネージャー【神崎 恵】。宜しくお願いしますね」


壇上に来て、高らかにそう告げた。



『恵ちゃん!?』

なんでここに恵ちゃんが。

疑問が浮かぶが、以前青学のマネージャーになったと聞かされていたことがあるのでそんなに驚きはしなかった。



「改めて、この合宿についての場所と部屋割りを言っておく」


跡部先輩が、皆に説明していく中
私は黙って跡部先輩を見つめていた。









「恵美ーー!!」

『わぁっ?!』


説明し終わって壇上から降りていく私達。
若干、皆からの視線が気になるが
姫ちゃんと月夜ちゃんは無視して二人で荷物運びに必死だ。

マネージャーは集まりの号令を受けたので、行ってみると恵ちゃんが飛び付いてきた。


「しばらく振りね恵美!元気してた?」


『私こそ!元気だった?』


「元気過ぎるよ!この合宿ではお世話になるね」


にこりと笑われて、更に私を抱きしめる恵ちゃんに
嬉しさが込み上げてきて、にんまりと笑顔になってしまった。




「恵、嬉しそうだね」

「ああ」


遠くの方で、青学の人達がそんな会話をしていたなんて耳に入らなかった。
私達マネージャーは、部屋割りされた部屋に移動することになった。



****


「うわ、キレー!」


開口一番、部屋に入ってすぐに姫ちゃんが叫んだ。
ちなみに部屋はマネージャー全員同じ。


「ねぇ、恵美。神崎さんとの関係を教えて?」


そして直ぐに、姫ちゃんが少し困ったように囁いた。
恵ちゃんは今、月夜ちゃんと喋っている。



『幼なじみだよ!』


にっこりと笑って言えば、また、姫ちゃんは困ったように笑う。


「そっか…」


『?』


どうして、そんなに悲しい顔をするのか。
解らなくて首を傾げると、姫ちゃんはハッとしたように顔を上げた。


「ねぇ、神崎さん!あたしも恵って呼んでいい?」


月夜ちゃんと恵ちゃんは何故か意気投合したらしく、お互いに名前で呼びあっていた。

了承を得たみたい。



なんで……かな。
姫ちゃんが少し元気がないみたいだ。



『(どうして…?)』








「恵美、いるか?」


コンコンとノック音がした後、跡部先輩の声が聞こえた。

慌ててドアを開けると、神妙な顔をした跡部先輩がいた。



*******





「あのな、この合宿には4校だけと言っておいたんだが……実は、もう1校増えることになった」


『え…』


なにやら真剣な表情をしているので、こちらも背筋を伸ばしてしまった。
………それもあるが、跡部先輩と二人ということだけで気持ちが引き締まる。


そして、跡部先輩が口を開いたので耳を傾けると、合宿に参加する学校がもう1校増えるらしい。


「悪いが、マネージャー全員に伝えとけ。
俺は合宿に参加してる奴ら全員に伝える」


そう言って、踵を返して去って行った跡部先輩。


『(私……この合宿で、ちゃんとやっていけるかな?)』





合宿とマネージャー。
(オレこっちのベッド使うわ)
(じゃあ私はこっち)
(私、挟まれてる…?)

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