頂き物

□FrOm梨々子
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あなたとこうして


二人でいられる


その時間が なにより大事





*休日*





ある晴れた、休日の午後。
隣を見やると分厚い本をただ黙々と読んでいる晴一の横顔。

一方、あたしはなにをするでもなく床にゴロンと横になりながらその特徴のある横顔をじーっと見つめる。

薄い唇、少しだけある髭、日光に当たってキラキラ反射している柔らかくて茶色い髪、いつも優しく見つめてくれる瞳、ギターを弾いているときのかっこいい、でもあたしに触れてくるときは優しい長い指――…。



「…なに人のことじーっと見つめとんの?」

「おわっ?!」


ボーッと見つめていると晴一がこっちを呆れ顔で見ていた。
あたしはバッと起き上がると噛みながら必死で言い訳をする。


「やっ、あのっ…あたし、ひ、暇でっ!んで、ずっと…は、晴一の顔をね?!ついじーっと見ちゃって…っ!ご、ごめん!」


だんだん自分の頬が熱を帯びていくのを感じる。
晴一がまだ呆れたようにわしを見ていたが、やがて"プッ"と吹き出した。


……え……?


「は、晴一?」


クスクス笑う晴一に首を傾げて聞くと、晴一が楽しそうに言った。


「いや、可愛えぇなぁって思って」

「は?」

「そうじゃの、わし全然あゆみんこと相手にしとらんかったもんの?」


一人でブツブツ呟いていたかと思ったら、晴一は持っていた本を机の上に置き、軽く自分の膝を叩くと大きく手を広げた。


「…なに?」


怪しがるあたしに晴一はにっこり笑った。


「おいで。ぎゅーってしちゃるけぇ」

「な…っ!な、なに言ってんの?!」


恥ずかしくなって目を見開くが、晴一は笑顔を絶やさない。
手はまだ広げたままだ。


「じゃって…構ってほしいんじゃろ?」

「う…」

「わしじゃってあゆみとラブラブしたいもん」

「馬鹿でしょ」

「じゃけぇ…ほら」


晴一はそう言うともっと手を広げた。
あの優しい笑みをあたしに向けたまま、幸せそうな声で言う。


「おいで、あゆみ」

「……っ」



くそ…
すごいかっこいいじゃんか



その声に弱いあたしは、ゆっくり晴一のもとへ近付くとすっぽり晴一の腕におさまった。
晴一の温かさに包まれていると、頬がつい緩んでしまう。

しばらく抱き締めてもらっていると、晴一が「はぁー…」とため息をついた。


「なに?」

「どうしよう…って思って」

「なんで?」


晴一は少し体を離すとすごく優しい笑顔を見せた。


「わし、今ぶち幸せ」

「…っ!そういうこと、サラッと言わないで…」

「んふふ。そういうことサラッと言える気分なんよ」


嬉しそうに呟く晴一が恥ずかしくて、あたしは真っ赤になっているはずの自分の頬を隠すように晴一の胸に顔を埋めた。



自分からはそういうことをなかなか言えない。
でも、素直に全部言ってくれる晴一が大好きで。



あたしは晴一の胸に顔を埋めつつボソッと呟いた。


「…あたしも、幸せ」

「ん?」

「なんでもない」




そう 幸せなの


晴一といれることが


この時間が 長く長く続けばいい





おわり


)ヒロインが「あゆみ」なのは、琉雨の本名があゆみだからです ワラ。

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