短編小説

□侵入者
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静かな部屋。此処は戦艦の一室。
揺れる銀色の髪。

「チィッ…あそこで俺が仕留めていれば…」

思い出すのは今日の戦いのこと。
イザークは敵MSを一体取り逃したことを悔やんでいた。

「いや…悩んでいても仕方ないな。もう寝るか」

そんな時、部屋の外で物音がした。

パンッ!

「!」

銃声のようだ。だが、僅かに聞こえただけ。他の部屋には聞こえない程の、小さな音だった。
その後、プシュン…と扉が開く。

「だっ、誰だ!」

銃声の後素早く起こした体を扉に向ける。

「静かにした方がいいよ」

一瞬、ニコルかと思った。ウエーブのかかった揺らぐ緑の髪。
だが、ニコルでは無い。声も、顔も違う。
そもそも、ニコルはもう二年も前に死んでいるのだ…。
そいつは、銃をこちらに向けている。

「誰だ…と、聞いている」

ゆっくりと、視線は外さず、サイドテーブルの引き出しから銃を取り出す。
それをいきなりやってきた来訪者に向け、指をかける。

「名前言っても…わかんないでしょ?
…二年前にアンタが撃った…フォビドゥンのパイロット」

一瞬で記憶の引き出しを漁る。
…!あいつか。あの時俺が撃った、連合のブーステンデッド。
緑の機体のパイロット。

「何故生きている…!確かに撃った筈だ。
それに、どうやって入ってきた…」

「さあ?奇跡的にね…助かったみたい。オルガとクロト…オレの仲間は死んだけど」

仲間と言うくせに、あっさりと死んだと言う。その目には微塵の悲しみも感じられないが…。

「仲間の仇でも討ちに来たか」

「まさか。オレは、あんたに仕返ししに来たんだよ。まあ…オレの仇討ち…ってとこかな」

面白いことを言う。自分の仇討ちだと?
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