短編

□TRICK OR TREAT?
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「なあ、不知火。」

「何だよ」

10月31日の夜。

残業中の不知火を見守っていた(手伝えよ by不知火)高杉は不知火にこんな事を聞いてきた。

残業中何だから話しかけんなと思いながら機嫌悪そうに返事をする不知火。

そんな不知火が面白くて仕方ないとでも言うように高杉は薄く笑った。

「今日は何の日だか知ってるか?」

「はあ?」


一瞬残業の手を止めた不知火だが、「ああ、」と呟いてまた仕事を再開させる。

「ハロウィンか。」

「ああ。」

「それがどうしたってんだ」

「いや、特に意味はない」

「じゃあ話しかけてくんな、仕事手伝え」

「やだね」

いい加減このやり取りにうんざりする。

そう思い無視することにした。

「おーい、不知火?」

「……。」

「…何だよ、怒ったか?」

「……。」

無反応な不知火がつまんないのか、高杉は不知火の髪をいじり始める。

「…おい。」

「お、やっと反応した。」

「手を離せ。」

そう言っても髪いじりを止めようとはしない高杉に、ついに不知火はキレた。

「おい、テメエいい加減に…っ!」

いい加減にしろ。

そう言いかけた不知火の口を、高杉の口が塞いだ。

「っ!?」

ただ軽く触れあうだけのキス。

高杉は口を離して、放心状態の不知火に向けてこう言った。

「trick or treat?」

「順番がちげえだろ、バカ…」

不知火は赤面した顔を高杉に見せまいと、素っ気なく呟いて顔を背けた。







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