短編

□TRICK OR TREAT?
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「不知火ー」

「あ?何だよ、原田」

放課後。帰ろうとした俺を奴はひき止めた。

「trick or treat!」

「…は?」

何か無駄に発音いいのがムカつく…っていうか、いきなり何だよ…。

「いや、今日ハロウィンだろ?だから…な。」

「あー…」

そう言えば。

そんなイベントもあったか…。

「菓子なんか持ってねえよ」

「へえ、意外だな。」


…どういう意味だ。

てか、フツー教師が生徒に菓子ねだるか…?


「ああ。だからもういいだろ。俺は帰る。」

そう言って原田に背を向ける。

そうしたら…。

「…っ!?」

ぐい、と腕を引かれ、自然と原田の胸に倒れ込む。


「…何しやがる。」

そう言って睨んでも、原田は薄く笑うのみ。

「何か忘れてねえか?不知火…」

「はあ?何をだよ。」

「trick or treatだ。お菓子くれないんだから、イタズラさせてもらう。」


「な…。」

どこまで子供なんだ、こいつは。


そう呆れた後、俺の頭に嫌な予感がよぎった。

まさか…。

俺はぎこちなく微笑み、原田を見た。

「お、おい、原田。」

「何だよ。」

「菓子なら明日持ってきてやる。だから…」

今日は勘弁しろよ、マジで…。

そう言ったら、原田は憎々しい程爽やかに笑って言い放った。

「断る。」

「ふざけんなテメエ!」


生徒はほとんど下校した校舎に、不知火の怒声が響き渡った。




end


二人がこの後どうなったかは、ご想像におまかせします。ww
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