Blush
□刹那
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次の日は、皮肉な程に晴れ渡った空が世界を覆っていた。
今日という日を迎えるコトなく、デイダラは死んだ。
イタチと飛段の話によると、デイダラが急に道路へ飛び出したらしい。
2人が止める間もなく、絶妙なタイミングで走ってきた大型トラックに跳ねられ、地面に叩きつけられて、嫌な音が響くのを生々しく想像出来た。
御通夜と葬式を経て、デイダラは呆気なく灰になった。
俺はおかしくなったみたいだ。
愛しい人が死んだのに、涙が出ない。寂しくない。
込み上げてくるこの怒りは何だ?
「ねぇ、飛段さん。
本当に…何なんでしょーね、この気持ち」
ここまでが俺の話。
唯一の聞き手である飛段は先程から閉じていた口を開いた。
「デイダラちゃんさぁ…
事故った後、俺に言ったんだ。
これでサソリに会えるって」
また胸の辺りが痛くなる。黒い感情が疼き出す。脳裏に浮かぶサソリとデイダラが堪らなく憎い。
2人きりでいれるとでも思うなよ…?
「まだ間に合うよな…?」
俺は自問自答しながら飛段に問いかけた。
「間に合うんじゃねーの?」
呆れながらも返事を返してきた飛段に驚いた。こいつなら止めてくると思ったのだが…な
「何驚いてんだよトビの癖に。
俺がお前らの醜い三角関係に口出しするかってんだ」
『さっさと逝けよ』と言って踵を返した飛段の背に、『角都と幸せにな』と送って俺は走り出した。
道路まであと数メートル
意気揚々と死にに逝く
2人の仲を裂く為ならば
安いモンだろう?
(end) 反省文