Blush

□刹那
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子供を守ろうとして交通事故に巻き込まれたらしい。子供は軽傷で済んだらしいが、葬式場で見たサソリは顔の大半が包帯で巻かれ、見るも無惨な姿であった。

式に参列した俺は、無表情でサソリを見つめるデイダラに何と声を掛ければいいのか分からず、ただ見ているだけ。
意を決してデイダラに声を掛けようとしたら、イタチに睨まれ、角都に『喋るな』と言われ、挙げ句飛段に引きずられ式場から退場させられた。


お前ら、流石の俺でも空気は読むんだからな?






サソリが死んで一ヶ月がたった。
デイダラはすっかり変わってしまった。
丁度一ヶ月、サソリが死んだあの日から

偽りの笑顔で装い、無理に明るく振る舞い、日に日に元気がなくなっていった。
いつ壊れてもおかしくないようで、俺は怖くなった。



「 デイダラ先輩!!好きです!! 」



見ていられなくて俺は何度めかわからない台詞を口にした。
昼休みの屋上で。
隣で飛段がいちご牛乳を吹いて、イタチが弁当の唐揚げを落としたのと同時だった。

飛段から直ぐに上履きで殴られ、『空気になれ(怒)』とイタチに怒鳴られた。
『読め』じゃなくて『なれ』ときたか
本当に俺のコト嫌いだよな、イタチ…



「 こんなオイラのコト好きになってくれて
ありがとな。トビ 」



この2人は本当に失礼なヤツだと思っていた俺に、デイダラは笑ってそう言った。
久しぶりに見た、偽りのない笑顔で…









その日の夕方、
俺は係の仕事で遅くなるからと、デイダラたちに先に帰るようにと伝えた。

『また明日!』と手を振る俺に、デイダラは『じゃーな』と一言。



コレが、デイダラと交わした最後のコトバ













「 今、なんて言いましたか…? 」


用事も全て終わり、帰宅しようとしていたところに
イタチから電話が掛かってきた。


『だから…
こんなコトを何度も言わせるな…っ』


電話越しで騒がしく聴こえるサイレン音、野次馬の声、飛段の『見せモンじゃねぇんだ!!そこをどけ!!!』という悲痛に似た叫び声…


とにかく病院に迎えと言って、イタチは電話をきった。


思考が止まると同時に
サソリの笑い声が聴こえたような気がした。

あの、人の不幸を嘲笑う時の声が…
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