スマブラ(DX〜X)《その1》紅のツバサ

□雨音を聞きながら。
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【雨音を聞きながら。】



















今日は雨。
こんな日は大乱闘もお休み。
参戦者の皆は思い思いの休日を過ごしていた。




ピット「うーん久々の休日だー!僕もう筋肉痛で足腰が痛いよ…。」
マルス「そうだね〜雨降るのも久々なんじゃない?」
アイク「こう、何もないと暇だな。」
ピット「そうだ!僕夢子のところにいってこよーっと♪」
マルス「あああ!ダメダメ!先に行くのは僕なんだから!」
アイク「…お前ら相変わらずだな…。」
そういうとピットとマルスは駆け足で夢子を探しに行ってしまった。

ひとり 残されたアイク。
アイク「…さて、俺はどうするかな。」
少し考えてから思い出したように頷く。
アイク「…久々にあの場所にでも行ってみるか。」







アイクが向かったのは城の屋根裏部屋だった。
そこは今は物置と化し、今ではほとんど人が入ることはない。
狭い階段を上り小さな屋根裏部屋の扉を開けるアイク。
そして驚いた。
そこには夢子がいたのだ。
窓を見つめ体育座りをしてじっとしていた。

アイク「…夢子!?」

夢子「わっ!アイクさん!?びっくりしたー!」
アイクが声をかけると驚いて夢子はアイクに気づく。
アイク「なんでこんな場所にいるんだ?」
夢子「そ…それはこっちのセリフです!アイクさんこそなんで屋根裏部屋なんかに…。」

アイク「隣いいか?」
夢子「はい!」
アイク「…雨が降ると、時々此処に来るんだ。」
夢子「…そうなんですか?奇遇ですね、私もです!」
アイク「そうなのか?」
夢子「はい!前にこの場所見つけて…それ以来雨降りで何もできないときはここの窓から外を見るんです。
     雨降りの外の景色、私好きなんです!
     なんて言えばいいのかな…なんだか切なくて。」
アイク「奇遇だな、俺もだ。俺も雨の降っている世界を眺めるのが好きでな。」
夢子「あはは、私たち考えてることいっしょですね!」
アイク「そうだな。」
夢子「ここ誰も来ないから静かで落ち着きますよね。」
アイク「ああ。穴場だからな。俺以外に人が出入りしているとは思わなかったが…。」
夢子「あ…なんだかすいません。私なんかがアイクさんのお気に入りの場所取っちゃって…。」
アイク「そんなことない。むしろ嬉しい。」
夢子「そうですか?…良かった邪魔じゃなくて。」
アイク「俺がお前のこと邪魔だと思うわけないだろ。」
夢子「なんだか嬉しいなぁ!」
アイク「雨が降ると心が落ち着く。…そしてお前といるときも、だ。」
夢子「アイクさん…?」
アイク「俺の思いは雨みたいに届かずに消えていくんだろな。」
夢子「?」
アイク「まだ、気づいてないのか?。俺の思いに。」
夢子「思いって…?」











アイクは夢子のおでこにキスをした。
夢子「あ…わ…わわわわわっ!」
突然のアクシデントに慌てる夢子。
アイク「俺はお前の事が好きだ。」

夢子「え・・・?!」
アイク「…このタイミングで言うものか悩んだが…今なら誰も邪魔者はいないからな…。」
夢子「アイクさん…!」
アイク「お前とずっと一緒にいたいなって思うようになったのは何時からだろうかな…。」
夢子「私もアイクさんとずっと一緒にいたいですよ!」
アイク「…本当か!?」
夢子「皆さんとずっと一緒にいることが私の夢ですから!」
アイク「皆か…。俺だけって言って欲しかったな。」
夢子「なっ…そんなこと…恥ずかしくて言えません…。」
アイク「照れるな。…俺も告白するの恥ずかしかったんだからな…。」
夢子「アイクさんのさっきの顔初めて見ました。すごい真剣でかっこよかったですよ!」
アイク「・・・。」
夢子「照れるな、って言っておいて自分が照れてるじゃないですか!!!」
アイク「…すまない。」
夢子「そういう真面目なアイクさん、私も好きですよ!」

夢子はにっこり微笑んだ。
アイクもその笑顔をみて微笑む。

アイク「雨が降ったらまたここで会わないか?お前とこうやって一緒にいたい。」
夢子「いいですよ。…何時間でも一緒にいます。」

夢子はアイクの肩に頭を並べた。

アイク「寒くはないか?」
夢子「大丈夫です。アイクさんが温かいから私も温かいです。」
アイク「そうか。ならいいが。」

耳を澄ますと雨音だけが聞こえていたが
次第に聞きなれた声も聞こえてきた。

ピット「夢子ー! どこー?」
マルス「夢子どこにいったんだろね〜全然見つからないや…。」

夢子「あ…ピットさんたt…」

大きな声を出そうとした夢子を止めるアイク。
そして小声で言う。

アイク「シッ!アイツ等にここに居ることがバレると色々厄介だ。」
夢子「…そうですね。ピットさん達には悪いけど…私もアイクさんとの時間邪魔されたくないです。」


ピット「いないねー。」
マルス「そういえばアイクどこに行ったの?」
ピット「さあ…トレーニングじゃない?」
マルス「夢子外にいるかも。行ってみよーっと」
ピット「ああ!僕も!!!」


パタパタパタ・・・

足音と声は次第に遠ざかっていった。

アイク「…行ったか。」
夢子 「なんだか緊張しましたね!」
アイク「フフ、そうだな。」
夢子「でも雨降ってるのに外出て風邪ひきませんかね…。」
アイク「馬鹿は風邪ひかないから大丈夫だろう。」
夢子「アハハ…。」
アイク「なあ夢子。」
夢子「なんですか?」
アイク「手、握っていいか?」
夢子「…はい!」

ギュッ

アイクは夢子の手をそっと優しく握った。

アイク「小さい手だな。」
夢子「アイクさんの手が大きいんですよ!」
アイク「温かいな。」
夢子「ええ…とても。」


二人は雨の降る窓の外の世界を静かに見続けた。








雨音を聞きながら。


・あとがき・
アイクが相手の初の甘々でした。
雨の音って癒されますよね。



 

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