V

□俺様カレシ。
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「、…っはあー」


バタン、と大きな音を立てて、遠慮無しに大きなベッドへ倒れ込む。跳ね返ってくるスプリングはとても品が良く、我が家のそれよりもずっと寝心地が良かった。


「、ねえ。誰の部屋か判ってるの?」

「はいすみませんでしたっ!」


頭上から聞こえた、酷く笑顔な表情とは裏腹な低い声に。文字通り飛び起きて答える。彼を怒らせると、非常に後が怖いのだ。

起き上がってベッドを降り、床にペタンと座り込む。正直これ以上立っているのは辛い。なにしろ、先程まで7時間立ちっぱなしだったのだから。私のバイト先は、接客業なのだ。


「高々7時間でバテたのかい?」

「あのねえ!天下の立海テニス部部長さんとは体力が違うの!」


「そんなの当然だろう?」


しれっと、しかし薄く笑んで言う彼に若干の苛立ちを感じた、が。だからと言って、言い返した処で敵うはずがない相手だ。余計な波は立てたくない。


だいたい、だ。あのバカみたいにキツいと有名な(一部では朝練だけで消費カロリーが3000キロカロリーはあるという都市伝説まで流れる程)練習を毎日こなしている彼に、体力で敵うはずがないんだ。


論争は諦めて、溜め息と共に深く項垂れる。座り込んだ床は酷く冷たくて、心地良い。


「そんなに疲れるの?」

「まあ、中心部だからね…」


「ふーん?まあ、頑張って」


さも、どうでも良さげな彼は。どうでも良さそうに言葉を吐き出す。目線すら、微妙な位置に漂っている気がする。


「なに、それ!もう少し優しく、とかないの?」

「無理。第一バイトはお前が好きでやってるんだろ?」


「そ、うだけど!彼女に対して優しくとか!」

「―――…はあ、煩いな」


せめてもの抵抗で叫んでみれば。彼は酷く面倒そうな表情で、溜め息を漏らした。

そのまま、近づいてくる藍色は。私の目の前にくると乱暴に顎を掴み、持ち上げた。私の意思とは裏腹に上げられたせいで、筋が嫌な音を立てて、鈍く痛んだ。


それでも。彼はお構い無しに、薄く笑む。









「黙って俺に貢げよ」



―――ああ、なんてやつなの。



でも、思わずときめいた、だなんて。私も大概、どうかしてるかもしれない。





***
こう言われたいのは私です^^^

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