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□過去ログ
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*仁王雅治
今日はワクワクハラハラな席替え。
皆、好きな人の隣が良いとかと淡い期待を口々に話している。
その話題の中心をほぼ100%の確率で乗っ取っているのは、私の隣に座る男。
仁王雅治。
言わずと知れた立海テニス部レギュラーで、甘い容姿を持つ色男。
私の想い人でもある。
そして何故か3年になってから、
ずっと隣の席。
それはもう、何かの呪いの様にぴったりと隣同士。
いや、嬉しいんだけどね…。
『今日、席替えじゃの』
「だね」
『また宜しくの』
「なんでまた隣になる前提なの!?」
『プリッ』
やっぱり良く判んない。
というか、この会話何回目だろうか。
前の席替えの時もした気がする。
そして、100%の確率でまた隣になるんだ。
うちのクラスの席替えはくじ引き制。
私の引いたくじは丁度窓際の一番後ろの席。
やった!
みんなに見えないようにガッツポーズをする。
そのまま席を移動させて、暫しの間。
なんで……、
なんでまた居るの…?
『また宜しくの』
得意気に笑った彼は、さっきも見た銀髪。
「ど、して……」
呟いた私に、彼は口端を上げた。
『仕方ないじゃろ、
これは運命なんじゃけぇ』
そうして気付いた。
彼は、詐欺師だったんだ。
(お前さんの隣を他の奴に譲りたくなかったんじゃよ)
(じゃけぇ、くじにちぃと細工したんよ)