4号

□革命(カゼ)が吹いたあとで
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「んん〜!いい天気!散歩日和だな、サスケ!」

「ワンッ!」

朝の空気を目一杯吸い込んでから話し掛けたら、サスケも返事をしてくれた。
そっか、サスケも嬉しいんだな。
もう一度空を見上げれば雲一つ無い青空、時々吹く風はあったかくって気持ちいい。
散歩日和と同時にサッカー日和だ。
サスケの散歩が終わったらすぐ河川敷に行こうっと。

「…ん?」

なんて考えてた時、顔の横を何かが横切っていった。
一瞬だったからよくわからなかったけど、白っぽい布みたいなやつだった。

「まっ…まってー!」

そうしたらすぐに幼稚園の制服を来た女の子が走って通りすぎていった。
女の子は両手を伸ばして、何かを掴もうとしている。
もしかしてさっきの布みたいなやつかな。
どうやらおれの考えは当たりみたいで、女の子はそれを掴もうと必死になっている。
目を凝らすとそれはただの布じゃなくて、淡いピンクのハンカチだった。
ハンカチはふわふわ風にあおられて、意思があるんじゃないかってくらい上手に女の子の手をすり抜けていく。
…ってのんきに観察してる場合じゃなかった!
早く捕まえてあげないと!

「おれに任せて!」

サスケを待ての状態にしてからおれは走り出した。
大分距離があるけど、きっとなんとかなる!

「スパイラルドローッ!」

ダンッと地面を踏み込んでハンカチに向かって突っ込む。
作戦通りハンカチとの距離は一気に縮まった。
でも、ハンカチはボールより何倍も軽いってことを、おれはすっかり忘れていたんだ。

「しまった!」

案の定ハンカチは遠心力が掛かって結構なスピードで飛んでいってしまった。
どうしよう、任せて、なんて言っちゃったのに…!

「ブッ!?」

なんとしても捕まえないと、ってハンカチの行方を追った瞬間、おれでも女の子でも無い別の声が聞こえた。

「…剣城?」

立ち止まって2、3度まばたきをする。
ハンカチが貼り付いて顔は見えないけど、隙間から濃い紫色のツンツンした髪とカールしたもみ上げが見えた。
肌も白いし、間違いない、剣城だ。
剣城は張り付いたハンカチを指でつまんで、怪訝そうにそれを睨み付けた。
一瞬の間があって、女の子は剣城のところに駆けていく。
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