5号

□その中身はブラックルームより暗く
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全銀河の命運を懸けた宇宙での激闘から数週間。
無事地球に戻ってきたおれたちは日常を徐々に取り戻しつつあった。
学校に通って、部活をして、練習が終わったら雷雷軒に行って。
瞬木たちといっしょにサッカーできなくなったのは寂しいけど、イナラインでは結構話してるから、まだアースイレブンとしてつながってるんだなって思う。

そんなある日、さくらからメールが来た。
内容を見た瞬間うれしくなっちゃって、すぐに剣城や神童さんに言わないとって思って、授業が終わったら日直の信助を待たずに教室を飛び出した。
廊下に出たらちょうど剣城が前を歩いていたから声をかけた。

「どうした、天馬?」

「さくらからのメール見た?」

「…ああ。今度の土曜にアースイレブンのみんなで集まって鍋食べないか、ってメールだろ?」

「うん!場所どうしようかって書いてあったから、おれの家でやろうよって返事しておいたんだ。剣城も来るよね?」

「まあ、一応な」

剣城が少し困った顔をしている。
まるで本当は行きたくないと思ってる感じだ。

「何だよ剣城。もしかしてみんなに会いたくないの?」

「そうじゃない。ただ、内容が内容だからちょっと気が乗らないだけだ」

「剣城鍋苦手なの?珍しいね」

「…おまえ、内容全部読んでないのか?」

「え?」

読んだけど普通のことしか書いてなかったと思うけど。
確認しようと思って携帯を取り出そうとしてたら、それより先に剣城がその画面を見せてくれていた。
おれはその文章をなぞるように声に出す。

「『みんな久しぶり!突然だけど今週の土曜日鍋パしない?場所とかはあとで決めるとして、予定がなかったらなるべく参加してね。普通の鍋パじゃ面白くないから具材は各自で持ち寄り!つまり闇鍋でーす♪』…ってえええ!?や、闇鍋!?」

聞いてない!っていうか読んでない!
いや、最後まで読まなかったおれが悪いんだけど…そんなことより!

「普通の鍋にしようって連絡しても…もう遅いよね?」

「多分な。さっき返信のメールが来ていたし」

そう言って剣城は携帯を操作してその画面を見せてくれた。
送信者はもちろんさくら。

『みんな返事ありがとー!全員参加でうれしいな♪じゃあ今週の土曜午後1時、稲妻町の河川敷駅券売機前に集合ね。ちなみに場所はキャプテンのおうちでーす♪』

さ、流石みんな、行動が速いなぁ。
こんな成功確率の低いイベントに神童さんや真名部がノッたのにはビックリだけど…。

「ダメ元で連絡してみたらどうだ?」

「だ…大丈夫!なんとかなるさ!」

そうだよ、確率が低いなんて考えちゃダメだ!
せっかくさくらが提案してくれたんだし、それにまだ失敗するって決まったわけじゃない!
そんなことを思って拳を握りしめて自分に言い聞かせてたらその間に剣城が歩いて行っちゃってて、おれは慌ててあとを追った。


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