2号
□雷門中サッカー部2年生談議
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「うおおっ!」
「どりゃあああっ!!」
「はああああああっ!!!」
夕暮れの稲妻町鉄塔広場。
そこに、少年の気合いの入った叫び声と共に何かが放り投げられる音と、それを無理に止める音が聞こえて来る。
「くっ……うわああっ!」
放り投げて止める、止めては放り投げると言う規則的な音が響いていたが、何回目かの時、ついに少年は止めきれず吹っ飛ばされた。
「っ…いってえ…」
「相変わらずだな」
「ん?」
見上げた先には、反転した水色の長いポニーテールと焦げ茶色の瞳の少年。
「風丸!」
少年は笑顔で声の主の名前を呼ぶ。
風丸と呼ばれた水色のポニーテールの少年は、フッとほほ笑むと仰向けの少年に手を差し出した。
「お、サンキュー!」
少年は風丸の手を借りて立ち上がる。
しかし少しふらつく少年を風丸はしっかり支え、ベンチに座らせた。
「円堂、大丈夫か?」
「ああ!全然平気さ!」
円堂と呼ばれた少年は、風丸の手を離させてガッツポーズをとる。
どこからどう見ても円堂はボロボロだったが、本人が平気と言う以上、それより追求は出来ない。
「そういえば前にもこんな状況あったよな」
「オレがサッカー部に入る、って言いに来た時だな」
「そうそう。その時だ!懐かしいよなー。ついこの間の事なのに」
「そうだな」
楽しそうに笑う円堂に、つられて風丸も笑う。
「でもそれが始まりなんだよな。オレたちの新しい雷門中サッカー部のさ」
「ああ」
それからしばらく、円堂も風丸もそれ以上話さず、夕暮れの稲妻町を見下ろしていた。
「円堂。風丸」
その時、右の方から声が聞こえた。
振り向くと、そこには二人の人物が立っていた。