2号

□雷門中サッカー部2年生談議
1ページ/5ページ


「うおおっ!」

「どりゃあああっ!!」

「はああああああっ!!!」

夕暮れの稲妻町鉄塔広場。

そこに、少年の気合いの入った叫び声と共に何かが放り投げられる音と、それを無理に止める音が聞こえて来る。

「くっ……うわああっ!」

放り投げて止める、止めては放り投げると言う規則的な音が響いていたが、何回目かの時、ついに少年は止めきれず吹っ飛ばされた。

「っ…いってえ…」

「相変わらずだな」

「ん?」

見上げた先には、反転した水色の長いポニーテールと焦げ茶色の瞳の少年。

「風丸!」

少年は笑顔で声の主の名前を呼ぶ。
風丸と呼ばれた水色のポニーテールの少年は、フッとほほ笑むと仰向けの少年に手を差し出した。

「お、サンキュー!」

少年は風丸の手を借りて立ち上がる。
しかし少しふらつく少年を風丸はしっかり支え、ベンチに座らせた。

「円堂、大丈夫か?」

「ああ!全然平気さ!」

円堂と呼ばれた少年は、風丸の手を離させてガッツポーズをとる。
どこからどう見ても円堂はボロボロだったが、本人が平気と言う以上、それより追求は出来ない。

「そういえば前にもこんな状況あったよな」

「オレがサッカー部に入る、って言いに来た時だな」

「そうそう。その時だ!懐かしいよなー。ついこの間の事なのに」

「そうだな」

楽しそうに笑う円堂に、つられて風丸も笑う。

「でもそれが始まりなんだよな。オレたちの新しい雷門中サッカー部のさ」

「ああ」

それからしばらく、円堂も風丸もそれ以上話さず、夕暮れの稲妻町を見下ろしていた。

「円堂。風丸」

その時、右の方から声が聞こえた。
振り向くと、そこには二人の人物が立っていた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ