1号

□イライラの原因
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「…早く行け。メンバーが揃わないと練習が始められないだろう?」

さっきまで死にそうだったやつのは思えない台詞と態度。

「おまえ…起きてやがったのかよ…」

「いくら寝不足だからと言ってそんなすぐに眠れる訳無いだろう。さすがに体は動かせそうにないがな」

こいつ…このオレがここまで運んでやったってのにそれを恩を仇で返すような事言いやがって…!

拳がわなわなと震える。
血管が沸き上がるのを感じた。

「ふざっ…けんなっ!」

胸倉を掴んで強引にこっちに引き寄せる。

「オレが親切にしてやったってのに付け上がりやがって!そのままくたばっちまえ!!」

言葉とともにあいつを突き放して出口に向かい、飛んでくんじゃ無いかってぐらいの勢いで扉を閉める。
荒くなった呼吸を整えるがしばらく収まりそうにない。
それどころかイライラは大きくなる一方だ。

「くそっ!」

横の壁を拳を固めて力の限り叩いた。
ダンッ!!と言う音が反響しながら消えていく。
何度か深呼吸をしてもう一度壁を叩いたあとグラウンドに向かった。





夕飯の時間あいつと他のヤツらの話じゃ、あいつ昼飯食った後から今までの記憶が曖昧らしい。
つまりオレが部屋にかついで行ってやった事覚えてねえって事だ。

やっぱりあいつはムカつく野郎だ。
イライラする原因の何者でもねえよ!


→あとがき
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