1号
□イライラの原因
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「うわあぁあっ!!かっ…からっ…辛いっ!!な…何だよ一体!!?」
「うっしっしっ!大成功〜!」
「ついに緑川も木暮くんの犠牲者になったか…」
「木暮くん!いい加減にしなさい!」
「お、音無!そんなに暴れちゃ食器がひっくり返るって!」
食堂に走り回る音と食器が跳ねる音が響き渡る。
毎回思うんだがこいつらうるさすぎねえか?
それでなくても常に騒いでんだから飯ぐらい静かに食えよって言いたくなる。
言うのもめんどくせえから黙ってるけどよ。
「うぁっ…!」
湯呑みに手をかけた時フッと視界が暗くなって体が前に押し出された。
その衝撃で湯呑みの中身がこぼれて膝に掛かる。
「誰だよ!」
思いっきり机を叩いて立ち上がった。
突然の事に当然食堂内が水を打ったようになる。
「す…すまない、大丈夫か?」
振り返った先には鬼道の野郎がいた。
よりによってこいつかよ。
「すまない、机の脚に自分の足を引っ掛けたみたいだ。よかったら…これを使ってくれ」
そう言ってあいつはポケットからハンカチを取り出した。
これで濡れたトコロを拭けって意味だろうが、当たり前にハンカチ持ってるってどうなんだよ。
「…いらねえよ」
出された手を振り払う。
よろけた反動であいつは後ろの椅子にぶつかった。
「ふど…」
「どけ。着替えてくる」
体勢を立て直そうとしたあいつをまた突き飛ばして外へ出た。
またイライラがつのっていく。
何だよあいつは。
今のだって普通なら詫び入れて終わりだろうが。
それをわざわざあんな事…これだから坊ちゃんの考える事は分からねえ。
「ムカつく野郎だ…」
ギリッと歯を食いしばり理不尽に壁や柱を蹴って部屋に向かう。
白い壁に何個か靴の跡が残ったが知ったこっちゃねえ。
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