1号
□オレたちもう友達だろ?
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−五年前−
今日は父さんがお日さま園に来てくれる日。
最近は学校も忙しいからなかなか会えなかった。
だからその分話したい事が沢山ある。
昼食が終わった後父さんがやって来た。
だけどいつもは一人で来るはずの父さんが、今日は違っていた。
隣にはオレとそれ程歳の違わない男の子が二人並んで立っている。
「父さん、その子たちは?」
「今日からこの子たちもここで一緒に暮らします。仲良くしてあげなさいね」
その子たちは対称的な二人だった。
一人は炎みたいに赤い髪で気が強そうな男の子で、もう一人は雪みたいに白い髪でクールな男の子だ。
「はじめまして、オレはヒロト。キミたちは?」
「…」
手を出したんだけど、フイッと顔を背けられてしまった。
でも別に気になんてしない。
オレだってここに初めて来た時、今日から皆と一緒に暮らすなんて言われたって受け入れられなかったから。
「ね、今から皆でサッカーやるんだ。よかったらキミたちも一緒にやらない?」
オレはグラウンドを指差す。
そこにはすでに準備万端なメンバーが集まっていて、オレが彼らと話してるのさえ時間がもったいないって顔をしている。
「…サッカーだと?」
見た目通りのきつい口調。
喧嘩腰って言うのかな。
「うん。もしかしてキミたちサッカーやった事ない?」
オレは二人に向かって笑いかける。
「もちろんあるよ。彼はどうか知らないが」
もう一人の方も想像通りの口調だった。
冷めた目で赤い髪の子を見る。
「オレだってある。だけどただ蹴ったりシュートしたりしたぐらいだぜ?」
「それで十分だよ。ちゃんとやればもっと楽しくなるから!」
オレは二人の背中を押して駆け出した。
二人は呆気にとられた顔でオレを見ている。
「いくよ!」
ドリブルで上がってきていたリュウジからボールを奪い、かかとで蹴り上げて自分の前に持ってきてそのままゴール向かう。
だけどすぐにスライディングを決められボールを奪われてしまった。
「やるじゃないか!」
オレは立ち上がってもう一度ボールを取りに行く。
しばらく二人はオレたちを見続けていた。
でも試合に加わってはくれない。
サッカーは見るのも楽しいけど、実際にプレイするのはもっと楽しいのにな。
「あっ…!」
その時、弾かれたボールが二人のところに転がっていった。
赤い髪の子が拾って投げ返してくれたけど、すぐに傍観に戻ってしまった。
…もう限界だ。
「キミたちもやろうよ!絶対楽しいから!」
オレは二人の手をとって強引にコートに引き込んだ。
二人は少し嫌そうな顔をしたけど、それぞれのチームに入ってくれた。
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